【映画レビュー】月光ノ仮面
これぞ板尾創路ワールド!という不条理な世界がこれでもかというほど展開していく、板尾創路が監督・脚本・主演を務めた映画『月光ノ仮面』。
妖しい満月が続く町にやって来た一人の復員兵と、ある落語家一門で起こる出来事を描いています。
こういう言い方は映画を表するのに適さないとは思うのですが、「うーん、フランス人とかこういう映画好きそうね…」と、なんとなく思ってしまいました。
いいと思う人にはすごく高評価を受けそうだし、こういうのが嫌いな人には鼻もひっかけてもらえそうな一作。
お笑い芸人が映画を作ると、やはりこういう方向に行ってしまうのでしょうか。
STORY
昭和22年、終戦後の寂れた町に軍服姿で顔に包帯を巻いた男が現れる。彼は寄席にたちより、何も言わないまま高座に上がり、おりようとしない。寄席を無理矢理追い出されたこの男を偶然見つけた、落語家森乃家天楽の娘・弥生は、彼の持っていたお守りに目を留める。そのお守りは、弥生が許嫁の落語家・森乃家うさぎに渡したものだった。男は、弥生と一緒に森乃家に帰り、一門の一員“森乃家小鮭”として、再度高座にあがることとなる。
解説
“粗忽長屋”という古典落語をモチーフにし、次の3つのキーフレーズを持つ本作。
「女は月の魔力に左右される」
「穴の中に月光は届かない」
「目は口ほどにものを言う」
戦後のドサクサで、生と死の狭間を生き抜くトラウマを抱えた人びとが、自分の存在、自分の愛する人の存在、愛していた人の存在も危うくなっていくという物語です。
板尾創路監督は、クライマックスシーンを最初頭に浮かべ、そのクライマックスシーンへと導くストーリーを考えていったということ。
監督本人が演じる主人公は、あまりはっきりしたセリフをしゃべることはありません。
ほぼ、口の中で“粗忽長屋”をブツブツとつぶやいているのみ。
観客には、彼が何を考えているのか、何をしようとしているのか、何をしているのかは一切説明されません。
プレスによると「メッセージなんて一切なし」「強いて言うなら、板尾創路というジャンル」「お客さんにはどの角度で、どう捉えてもらっても、僕としてはOK」とのこと。
謎の女郎や謎のタイムスリッパーなど、不思議な登場人物たちも多く登場しますが、彼らの存在の意味は観客の解釈に委ねられているようです。
他に、ただ一つ付け加えるとするならば…。
「石原さとみのセクシーさはガチ」ということでしょうか。
あの和風の抑えた色気、他の女優には代えがたい存在感がありますね。。。
作品情報
『月光ノ仮面』(102分/日本/2011年)
公開:2012年1月14日
配給:角川映画
劇場:角川シネマ有楽町ほか全国にて
監督・脚本・出演:板尾創路
脚本:増本庄一郎
出演:浅野忠信/石原さとみ/前田吟/國村隼/六角精児/柄本佑
公式HP:http://www.gekkonokamen.com/
公式ブログ:http://www.gekkonokamen.laff.jp/
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