【映画レビュー】ファーストラヴ
父親を殺してしまった美しい女子大生を芳根京子が、そして自分自身も心にトラウマを抱える公認心理師を北川景子が演じる映画『ファーストラヴ』。
北川景子、以前から憑依型で役に入りこんで演じるタイプの女優さんでしたが、これまではどこか、その心に技術が追いついていないような、どこか不器用なイメージがありました。
でも、この作品では、そのトラウマを抱えた複雑な女性を演じ、見事な演技を見せています。
同じく、役に入り込む憑依型の若手女優・芳根京子の演技も素晴らしく、二人の女優の演技を堪能することができる映画と言えるでしょう。
STORY
公認心理師の真壁由紀は、父親を殺害した女子大生・聖山環菜を取材して本を執筆することを決める。就職活動中だった聖山環菜は、アナウンサー試験後に画家である父の勤務する美術大学を訪れ、トイレに父を呼び出して包丁で刺したのだ。環菜の担当弁護士である庵野迦葉は、由紀の夫・我聞の弟であり、かつて由紀と同じ大学に通っていた。由紀は個人的なわだかまりを封印し、迦葉と共に聖山環菜の事件の背景にあるものを探り始める。
解説
第159回直木賞を受賞し、累計発行部数30万部を超えるベストセラーとなった島本理生の原作小説を堤幸彦監督が映画化した本作。
北川景子演じる公認心理師・由紀と、中村倫也演じる弁護士・庵野迦葉が、一人の女子大生・環菜が起こした事件を調べるうちに、環菜が抱えるトラウマの実態が明らかになっていきます。
横暴な父親、父親に逆らえない娘、見てみぬふりをする母親。
父親の専横から逃れようとする娘は、逃れた先で新たなトラウマを抱えるようになります。
そして、幼い頃から自分の傷ついた心を隠すためにつけ続けた仮面が固着し、自分自身にも心が傷ついていることがわからなくなっているのです。
あまりにも傷つきすぎている人は、自分をも騙し、その傷がなかったように振る舞います。
しかし傷ついた心はいつか暴発し、取り返しのつかない事件を起こしてしまう……。
その仮面の存在に気付き、仮面を剥がそうとする者も、自分が着けてきた仮面の存在を思い知ることになります。
そして、自分の仮面を無理矢理はがされる痛みを知るのです。
しかしそれは、他人の仮面を剥がそうとした以上は、受けるべき覚悟の痛みでもあるのでしょう。
他人から見ればそれほど大した経験とは思えなくとも、受けた人からは大きなトラウマとなる経験もあります。
人から受けた支配や無関心、過剰な愛や不適切な対応は、受け止める人によっては大きな傷となるのです。
人の心の弱さと、そんなトラウマに耐えてしまう脆さと紙一重の強さ、その強さが呼んだ不幸を描いた本作。
トラウマを与え続ける人もいれば、その人の心の弱さを理解し支えてくれる人もいる。
映画『ファーストラヴ』は、そんな切なさと希望とを感じさせてくれる作品でした。
それにしても、窪塚洋介演じる由紀の夫・我聞さん、理想の夫すぎる……。
私は中村倫也演じる迦葉より、断然、我聞派です。
関連ニュース
【映画ニュース】『ファーストラヴ』北川景子×芳根京子のインタビュー&メイキング映像公開:http://c-movie.jp/news/firstlove-making/
作品情報
『ファーストラヴ』(119分/日本/2020年)
公開:2021年2月11日
配給:KADOKAWA
劇場:全国にて
原作:島本理生『ファーストラヴ』(文春文庫刊)
監督:堤幸彦
脚本:浅野妙子
音楽:Antongiulio Frulio
主題歌・挿入歌:Uru「ファーストラヴ」、「無機質」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
出演:北川景子/中村倫也/芳根京子/板尾創路/石田法嗣/清原翔/高岡早紀/木村佳乃/窪塚洋介
Official Website:https://firstlove-movie.jp/
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