【映画レビュー】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い / Extremely Loud and Incredibly Close

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(初回限定生産) [DVD]

過去、鑑賞中に一番泣いた映画は何かと言うと、間違いなく『リトル・ダンサー』という作品です。
イギリスの炭坑街出身のバレエ・ダンサー、ビリー・エリオットを描いた、スティーヴン・ダルドリー監督作です。

単純に“悲しい”とか“感動する”という感情とも違うのですが、観ていて何故か涙が止まらなかったこの『リトル・ダンサー』
この作品を手がけたスティーヴン・ダルドリー監督の新作が『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

この作品も、単純に“悲しい”とか“感動する”というような作品ではありません。
でも、『リトル・ダンサー』と同じように何故か涙が止まらず。。。

“泣ける映画”イコール“いい映画”だとは決して思っていませんが、この映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、私にとってはとても素晴らしい映画だったと思います。

なんだろう、スティーヴン・ダルドリーの描く父と息子の物語に弱いんですよねえ。。。
なぜだろう。何か私の心の琴線に触れるものがあるんですかね。。。

STORY

オスカーの父・トーマスは、9.11の日、ワールドトレードセンターにいた。そしてトーマスは、オスカーに留守番電話のメッセージを遺したまま、帰って来なかった…。2002年、父の死を受け入れられずにいるオスカーは、クローゼットの中の青い花瓶から1本の古びた鍵を発見。鍵の入っていた封筒には“Black”の文字があった。それは人の名字だと考えたオスカーは、NYの電話帳に載っている472人のブラックさんを訪ね、この鍵にあう鍵穴を探すことを決める。

解説

この物語は、9.11の日に父親を亡くした少年・オスカーが、父親からのメッセージを受け取ろうとニューヨーク中を旅してまわる物語です。

この少年は、“利口だけれど不器用”な男の子。
「ADHD(注意性多動障害)のテストを受けたけど、確定しなかったよ」というセリフにもある通り、ADHDの気配などもうかがわれる、社会へすんなりと適応することができていない少年です。

タンバリンを鳴らしながらでないと落ち着いて前に進めなかったり、人と話をするのが怖かったり、たまにちょっと他の人と違う行動をとってしまいます。
しかし、オスカーは、知的能力は非常に高く、記憶能力などもよいのです。

そんなオスカーが、父からのメッセージを受け取ろうと、ニューヨークに住む472人の“ブラックさん”を訪ねてまわります。

その途中で出会う様々な人びとが、オスカーに父からのメッセージを間接的に伝えてくれます。

トム・ハンクス演じるオスカーの父・トーマスは、科学者になりたいという夢を持っていたものの、愛する妻と出会い、家族を持ったことにより、夢をあきらめて宝石商として家族を養うことを選びます。
トーマスの両親(オスカーの祖父母)は、第二次世界大戦時にドイツから逃げてきた人びとですが、その過酷な経験をオスカーに対して口にすることはありませんでした。
サンドラ・ブロック演じるオスカーの母・リンダも、愛する夫の死に打ちのめされ、オスカーとうまく新しい関係を築けないでいますが、常にオスカーを愛し、彼を信じて見守っています。

オスカーは、恐怖に打ち勝って父親からのメッセージを探す旅に出る中で、家族たちが自分に抱いてくれている愛を知るのです。
オスカーは勇気を振り絞ってイニシエーションを乗り越えたからこそ、ひとつ成長し、これらのメッセージを受け取ることができたのでした。

考えてみれば、この「少年が試練を乗り越えて成長し、父親からのメッセージを受け取る」という構造は、『リトル・ダンサー』に共通していますね。
個人的にこの構造に弱いんだな、きっと。。。
もしかしたらスティーヴン・ダルドリー監督も、“父から息子へのメッセージ”という題材を自分のテーマの一つとして抱えているのかもしれませんね。

別コラム

オトコに見せたいこの映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

作品情報

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(130分/アメリカ/2011年)
原題:Extremely Loud and Incredibly Close
公開:2012年2月18日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:丸ノ内ピカデリーほか全国にて
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
監督:スティーヴン・ダルドリー
脚本:エリック・ロス
衣装デザイン:アン・ロス
出演:トム・ハンクスサンドラ・ブロック/トーマス・ホーン/マックス・フォン・シドーヴィオラ・デイヴィスジョン・グッドマンジェフリー・ライトジェームズ・ガンドルフィーニ/ゾーイ・コールドウェル
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/extremelyloudandincrediblyclose/

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