【映画レビュー】ダニエル / Daniel Isn’t Real
“Daniel Isn’t Real”という原題が示すように、実在しないイマジナリーフレンドとの交流を描く映画『ダニエル』。
イマジナリーフレンドというと、通常は幼い子どもの前に現れる“空想の友人”であり、大人の前には現れないものなのですが……。
成長して大人の姿になって、何年かぶりに現れたイマジナリーフレンドは、果たしてイマジナリーフレンドと言えるのか?
長編監督デビュー作『デッド・ガール』が“次世代のコンテンポラリー古典ホラー”と絶賛されたアダム・エジプト・モーティマー監督による意欲作。
まだまだ不完全に思える点も多いですが、これからの活躍を期待する意味でも、注目の作品と言えるでしょう。
<STORY>
カフェで起こった銃撃事件を目撃した少年・ルークは、大きなトラウマを抱えてしまった。両親も離婚し孤独な日々を過ごしていたルークの前に、イマジナリーフレンドのダニエルが現れるように。しかし、ある日母の怒りを買い、ダニエルはドールハウスに封印されてしまった。大学生になったルークは、精神を病む母親の看病のため、久しぶりに実家に戻ることに。そこでドールハウスの封印を解いたルークの前に、美しい青年への成長したダニエルが、再び姿を現し……。
<解説>
少年ルークが大きなトラウマを負った日に現れたイマジナリーフレンドのダニエル。
最初は仲良く遊んでいたものの、ダニエルの企みでルークの母親が命を落としかけたせいで、ダニエルは封印されてしまいます。
しかし、ルークも大学生となった頃、彼の母親の精神状態が悪化し、自身も自信をなくしていたルークは実家に戻ることに。そしてダニエルの封印を解いてしまうのです。
美しく成長した姿で現れたダニエルは、カリスマ性あふれる言動で、ルークに自信を取り戻させていくのです。
ダニエルのおかげでガールフレンドもでき、大学生活を楽しんでいたルークですが、その蠱惑的な魅力に絡め取られそうになり、ダニエルが自分を乗っ取ろうとしていることに気づくのです……。
序盤はグレーがかった落ち着いた映像で描かれていますが、ダニエルの本性が少しずつ現れてくるにつれて、サイケデリックな色彩の映像が増えていきます。
それと共に、ルークの“妄想”として広がっていた世界が、精神世界の枠を超え、まったく別の物語へと展開していくのです。
ルークはダニエルを自分から切り離そうと精神科医に助けを求め、更なる不幸を招いてしまうのでした。。。
本作でルークを演じるのは、ティム・ロビンスとスーザン・サランドンの息子であるマイルズ・ロビンス。
そして、ダニエルを演じるのは、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子であるパトリック・シュワルツェネッガー。
二世俳優同士の共演ではありますが、二人ともすばらしい演技を見せています。
特に、蠱惑的な演技を見せるパトリック・シュワルツェネッガーの鬼気迫る演技はかなりの見応えあり。
そう言えば、若き日のアーノルド・シュワルツェネッガーは、ミスター・ユニバースやミスター・オリンピアに選ばれた美丈夫。その血を引くだけあって、正統派美男子のルックスの上に狂気をはらんだ表情からは、人を惹きつけるカリスマ性を十分に感じられました。
新鋭・アダム・エジプト・モーティマー監督のチャレンジングな演出に彩られた映画『ダニエル』。
若き俳優陣・スタッフ陣の強い意気込みを感じられる意欲作でした。
『ダニエル』(100分/アメリカ/2018年)
原題:Daniel Isn’t Real
公開:2021年2月5日
配給:フラッグ
劇場:新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイント、グランドシネマサンシャインほか全国にて
原作・脚本:ブライアン・デリュー
製作:イライジャ・ウッド
監督・脚本:アダム・エジプト・モーティマー
音楽:Clark
出演:マイルズ・ロビンス/パトリック・シュワルツェネッガー/グリフィン・ロバート・フォークナー/ネイサン・リード/サッシャ・レイン/ハンナ・マークス/メアリー・スチュアート・マスターソン/チュク・イウジ/ピーター・マクロビー/マイケル・クオモ/アンドリュー・ブリッジス/ケイティ・チャン
Official Website:https://danielmovie.jp/
Three Lines Pictures (2020-02-11T00:00:01Z)
¥1,779
Samuel Goldwyn Films (2020-02-04T00:00:01Z)
¥2,193
Deutsche Grammophon (2019-12-06T00:00:01Z)
¥707