【映画レビュー】恋するリベラーチェ / Behind the Candelabra
“Behind the Candelabra”、燭台の向こうに、とでも言うべき原題を持つ映画『恋するリベラーチェ』。
『恋するリベラーチェ』と聞くと、なんだか可愛らしいフワフワした恋愛物語を覚える人も多いかもしれません。
でも、この映画で描いているのはそんなフワフワした恋愛ではなく、激しく重い恋愛模様。
タイトルに偽りはないのですが、どうにもミスリードを狙った邦題です。
この映画は1950年から70年代にかけて、“ミスター・エンターテイナー”として知られたアーティスト、リベラーチェと彼の若い愛人・スコットの恋愛模様を描いています。
性癖による差別の激しかった時代に、ゲイであることを隠して生きた彼らの恋愛は、本当に命を振り絞るような、全身全霊で向き合う激しいもの。
恋愛というよりも、家族のように愛し合う憎みあう彼らの恋愛模様には、心を揺さぶられずにはいられません。
STORY
1977年、普通の暮らしをしている青年、スコット・ソーソンは、エンターテインメント・ピアニストのリベラーチェと出会う。大スターのリベラーチェは同性愛者であることを世間に隠していたが、二人はすぐに恋に落ちた。スコットを秘書にしたリベラーチェは、高級車や宝飾品など様々なものを買い与え、スコットの生活は激変する。しかし、スコットはダイエットのために飲み始めた薬に依存するようになり、二人の関係にも溝が出来はじめる…。
解説
エミー賞で15部門にノミネートされ、作品賞、監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)、主演男優賞(マイケル・ダグラス)を含む11部門での受賞を果たした本作。
マイケル・ダグラスがゲイのアーティストを可愛らしくゲイゲイしく演じています。
その様々な姿は、恋多き女性そのもの。
ちょっと年老いた自分に劣等感を抱いているものの、自分が持つ財産や人脈、実力には過剰なまでの自信を持ち、それをフルに活かして若い恋人をゲットしていく肉食女性のようです。
そのリベラーチェと恋に落ちるスコット・ソーソンを演じるのは、サラサラ金髪ヘアーのマット・デイモン。
『エリジウム』のゴツい坊主頭、「ボーン」シリーズの敏腕スパイとはまったく違うおぼこい若者を初々しく演じています。
リベラーチェのあからさまな誘いに、好奇心とファン心理から恐る恐る乗ったスコットですが、彼らはやがて心から恋に落ちていきます。
しかし、前の愛人を追い出して新たな愛人の座を得たスコットは、リベラーチェの周囲に若いハンサムがやってくることに絶えられず、やがて彼らはケンカばかりに。
愛し合っているはずなのに、彼らの心はすれ違い、やがて憎みあうようになるのです。
この恋愛模様、“結婚”などといった制度に縛られない男性同士だからこそ、ストレートな愛憎劇に発展していくのです。
彼らの心が揺れ動く様を見事に描きとったスティーブン・ソダーバーグ監督の手腕、本当に素晴らしいと思います。
ゲイの男性の恋愛が愛情に発展していく過程をリアルに描ききったこの作品、素晴らしい恋愛映画だと思います。
そうそう、リベラーチェのきらびやかで成金趣味なステージ衣装や、豪華な邸宅も必見。
素晴らしい才能を持つエンターテイナーだけが着こなすことのできる衣装を着こなすリベラーチェの姿に、本当のスターの姿を見ることができます。
作品情報
『恋するリベラーチェ』(118分/アメリカ/2013年)
原題:Behind the Candelabra
公開:2013年11月1日
配給:東北新社
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス/マット・デイモン/ダン・エイクロイド/スコット・バクラ/ロブ・ロウ/トム・パパ/ポール・ライザー/デビー・レイノルズ/ニッキー・カット/シャイアン・ジャクソン/ボイド・ホルブルック/デヴィッド・ケックナー
公式HP:http://liberace.jp
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