【映画レビュー】人生はビギナーズ ／ Beginners

44年連れ添った妻の死の5年後、自分がゲイであることをカミングアウトした父・ハル。
オリヴァーは、戸惑いながらも、そんな父の姿を見守ります。
若いボーイフレンドと恋をし、乙女のように頬を染めて恋を楽しむ父の姿を、つかず離れず見守るのです。
そして、ハルはガンを発症。
オリヴァーは父の最期を看取ります。

オリヴァーの記憶の中にある父は、厳格で、いつも母に冷たい男性でした。
オリヴァーは、そんな父を辛そうに見送る母をいつも見てきたのです。

しかし、ハルの告白を受けて、父が懸命に努力してきたことを知ります。
母は、結婚前にハルがゲイであることを知らされたにも関わらず「私が治してあげるわ」と、ハルに結婚をせがんだのです。
その頃、同性愛はまだ病気と見なされていた時代でした。

若き日の父と母の間に隠されていたドラマを、母の死後、父の死の直前に、オリヴァーはやっと知ることになりました。

自分が育ってきた家庭が不和だったのは、父のせいでもなく、母のせいでもない。
お互いに懸命に努力しながらも、そうならざるをえなかったのだ…。

そして、父・ハルの死後、あるパーティーで自称・女優のアナと出会います。
ニューヨークに拠点を持ちつつ、ロサンゼルスの高級ホテルに暮らすフランス生まれのアナとの、おままごとのような恋。
オリヴァーとアナは、この恋を成長させることができるのか…。
オリヴァーもアナも、不安定な家庭で育ってきており、いわゆる“幸せな家庭”を知りません。
でも、まずは始めてみるしかないのです。初心者として。。。

この映画、主人公はオリヴァーですが、もう一人、陰の主人公とでも言うべき存在がいます。
それは、オリヴァーが飼っているジャックラッセル・テリアのアーサー。

普段はあんまり吠えないくせに、いざという時だけ、可愛らしく吠える愛らしいヤツ。
絶妙なタイミングでオリヴァーの後についていき、何も言わないのにオリヴァーの心をわかってくれる存在です。

微妙に毛がスカスカしていて、一見あんまり可愛くないのですが、見慣れてくるとそこがなんとも可愛い。。。
猫派の私も、思わず浮気しそうになってしまいました。

ジャックラッセル・テリア、やっぱり毛がスカスカだから、日本ではあんまり人気がないのかなあ。
でも、『タンタンの冒険／ユニコーン号の秘密』のスノーウィーもテリア（彼はホワイト・フォックステリアですが）だったし、欧米ではテリアが人気犬種なのでしょうか。
おもちゃみたいな日本の室内犬より、なんだか大人っぽい雰囲気がしますね。