【映画レビュー】ビューティー・インサイド / 뷰티 인사이드
目が覚めると、毎日、その体のすべてが新しい人間に変身している男と、その恋人となった女性を主人公とした映画『ビューティー・インサイド』。
光溢れる美しい映像でファンタジックに描いているこの映画ですが、その根底に秘められた問題は、なかなか重いもの。
人は、人のどこを好きになるのか?
人は、人の何を愛し、その気持ちを維持していけるのか?
その美しくまぶしい映像でポップに捉えてしまいますが、人に対して抱く“愛”の根源を見直してしまうような、奥深い問題を突きつけてくる一作です。
まあ、パスポートどうしたんだろうとか、そういう系のツッコミは、なしで。。。
<STORY>
普通の男子高校生だったキム・ウジンは、18歳の誕生日の朝目覚めると、まったく違う外見になっていた。それ以来、眠りに落ちて目覚めると、寝る前と外見が変化してしまうようになる。男、女、老人、子ども、外国人と、毎日様々な外見に変化するウジン。家具デザイナーとして引きこもって暮らす彼は、家具店に務めるイスという女性に恋をする。イケメンに変身した日を狙い、ウジンはイスをデートに誘う。三日三晩寝ずにその姿でイスと会うのだが…。
<解説>
一度眠ると、まったく別人の姿に変わってしまうウジン。
年齢、性別、人種など関係なく、少年の時もあればおじいさんの時もあり、妙齢の美女のことも。韓国人だけでなく、アメリカ人や日本人になったりも…。
そんな、不思議な体質(!?)を持つ青年・ウジンと、彼の恋人になったイスの物語です。
最初のうちは面白がっていたイスですが、だんだんと不安に思うようになってきます。
友人や職場の仲間に彼を紹介したくても、紹介できない。
愛している人は一人なのに、はたからは「あの女性はいつも違う男性と歩いている」と思われる。
それに何より、ウジンがイスの知らないところで何か事故にあったりしたら、イスにはウジンを見分けることができないかもしれない…。
イスは悩み、苦しむのです。
ウジンは、悩むイスに何をしてあげることもできず、ただ毎日、新しい姿で生活していくしかない。。。
彼らの恋愛物語を見て、全く違う作品ではあるのですが、私はキム・ギドク監督の2006年の映画『絶対の愛』を思い出しました。
この『絶対の愛』は、恋人に愛され続けるために、自分の顔を整形する女性の物語。
主人公たちは、自分も他人も傷つけながら、身勝手に愛を求めてさまよっています。
『ビューティー・インサイド』と『絶対の愛』、この二つの映画は、“愛”とは何に対して芽生えるものなのか?という問いに、別の側面から、一つの答えを提示しているように思いました。
ある意味、整形大国と言われる韓国だからこそ、生まれた映画かもしれませんが。。。
この『ビューティー・インサイド』のペク監督は、もともとCM界で活躍するビジュアル・クリエイターで、本作が劇場長編映画デビュー作。
光溢れる美しい映像で、雰囲気たっぷりの世界観を作り上げています。
ウジンを演じる123人も、パク・シネやイ・ヒョヌ、上野樹里といった有名俳優から、韓国芸能界の裏方まで、様々。
実は、いろいろな芸能事務所の社長たちもウジン役で登場しているそうで、そう思いながら見ると、韓国芸能界の裏側が覗けるような気がします。
社長たちも出ているからこそ、これだけそうそうたるスターたちが登場できるわけですね。
『ビューティー・インサイド』(127分/韓国/2015年)
原題:뷰티 인사이드
公開:2016年1月22日
配給:ギャガ・プラス
劇場:TOHOシネマズ 新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開
監督:ペク
出演:ハン・ヒョジュ/キム・デミョン/ト・ジハン/ペ・ソンウ/イ・ボムス/パク・ソジュン/キム・サンホ/チョン・ウヒ/上野樹里/パク・シネ/イ・ジェジュン/ホン・ダミ/チョ・ダラン/イ・ジヌク/キム・ミンジェ/ソ・ガンジュン/キム・ヒウォン/イ・ドンウク/コ・アソン/イ・ヒョヌ/キム・ジュヒョク/ユ・ヨンソク/イ・スンチャン/グォン・キハ/イ・ドンフィ/ムン・スク
Official Website:http://gaga.ne.jp/beautyinside/index.html
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