【映画レビュー】127時間 / 127 Hours
2008年の米国アカデミー賞にて8部門で賞を独占した『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督の最新作『127時間』。
「失神者続出!」とか「劇場で嘔吐する人も!!」などという、海外の前評判を聞いていたので、どんな残酷な作品かと思っていたのです。
しかし、実際に観てみると…、この作品は、生への希望に満ちた、人間讃歌でした。
なんと言っても、主演のジェームズ・フランコが超キュート。生への希望を失わない彼が、なんとも魅力的なのです。
まあ、確かに若干の残虐シーンはあるんだけどね。。。
思わず目を覆って画面を見ないようにしてたりもしたんだけどね。。。
STORY
2003年4月25日の金曜日の夜、アーロン・ラルストンはブルー・ジョン・キャニオンという渓谷に一人で向かった。行き先は誰にも告げていない自由な旅だ。何度も訪れている勝手知ったるこの渓谷で、一人でロック・クライミングを楽しむつもりなのだ。そして渓谷を軽快に降りている時、彼は崖から滑り落ち、大きな石に右手を挟まれてしまう。身動きの取れなくなった彼は、持っていた万能ナイフで巨石を削ろうとするが、石はビクともしない…。
解説
この映画は、実話を元にしています。
2003年4月、アーロン・ラルストンという27歳の青年が、実際にユタ州のブルー・ジョン・キャニオンで巨石に手を挟まれ、127時間、身動きのできない状況におかれました。
その時の状況を書いたノンフィクション「BETWEEN A ROCK AND A HARD PLACE(アーロン・ラルストン 奇跡の6日間)」を読んで心を動かされたダニー・ボイル監督が、この実話を映画化したのが、本作『127時間』なのです。
物語の舞台は、渓谷の間の狭い隙間。
登場人物は、ほぼジェームズ・フランコ演じるアーロン・ラルストンのみ。
こんなシチュエーションで映画が成り立つのか…と思いますが、充分成り立っています。
食べ物や水も少ししかない、限られた極限状態の中で、アーロンは現実から逃避しようとラジオDJの真似をしたり、両親へ向けたビデオレターを撮影したり。
ダニー・ボイルは、アーロンがなんとかして生き延びようとする様子を、回想シーンや妄想シーンを織り交ぜながら、ある時は軽快に、ある時は悲惨に、ある時は夢のように美しく描き出します。
映画の冒頭で見せる、両親からの電話を無視したりするワガママ息子の描写や、音楽好きで明るい魅力的かつ能天気な青年であるという描写がここで効いてきます。
ジェームズ・フランコが見事な演技を見せ、ワガママ息子が両親への愛と感謝を思い出す様子を、能天気だった青年が絶望的な状況から這い出ようと勇気を振り絞る様子を、壮絶に演じています。
彼の演技が変遷していく様子が、本作の一番の見所と言えるでしょう。
しかし、ダニー・ボイル監督はやっぱり音楽の使い方が上手ですねえ。
音楽ひとつで、主人公の状況や心境を見事に表現し、観客のテンションも上手に上げ下げしてくれます。
『スラムドッグ$ミリオネア』も『トレインスポッティング』ももちろんサントラを持っているのですが、本作のサントラも購入決定です。
それにしても、人間、死を前にするとこれまでの人生が、走馬灯のように目の前を回ると言いますが…、その時間が127時間っていうのは、ちょっと長過ぎますね。。。
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作品情報
『127時間』(94分/アメリカ=イギリス/2010年)
原題:127 Hours
公開:2011年6月18日
配給:20世紀フォックス、ギャガ
劇場:TOHOシネマズ シャンテ、シネクイントほか全国にて
原作:アーロン・ラルストン
監督:ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・フランコ/アンバー・タンブリン/ケイト・マーラ/クレマンス・ポエジー/リジー・キャプラン/トリート・ウィリアムズ/ケイト・バートン
公式HP:http://127movie.gaga.ne.jp/
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