【映画レビュー】パラサイト 半地下の家族 / 기생충
各国の映画賞で大きな話題をさらい、第72回カンヌ国際映画祭でパルムドール、そして第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の四冠を獲得した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。
カンヌ、そしてアカデミーで韓国映画史上初の快挙を成し遂げた、必見の一作です。
<STORY>
大学受験に失敗したフリーターのキム・ギウは、両親と妹ともに半地下の家で暮らしていた。ある日、友人からIT企業社長・パク氏の娘の家庭教師の職を紹介されたギウは、娘からも夫人からも信用を得ることができた。夫人から小学生の息子の美術教師を探していることを聞いたギウは、他人のふりをして妹のギジョンを紹介。さらに、父親を運転手として、母親を家政婦として家にもぐりこませることに成功し、キム家はパク家に寄生し始めるが…。
<解説>
この作品の主人公は、“半地下”という韓国独特の形式の住宅に暮らすキム一家。
何度も事業に失敗した無職の父と元ハンマー投げ選手の母、大学受験に落ち続けているフリーターの長男と、美大志望の妹の4人家族です。
彼らが暮らす家の窓から見えるのは人々の足元。夜には酔っ払いが窓に向かって立ちションするわ、町の消毒をする際には噴霧された消毒液は入ってくるわ、言ってみれば韓国の底辺層の人々です。
そんな彼らがパラサイトするのは、高台の高級住宅地にあるIT社長の家庭。
仕事盛りの父、若く美しい母、中学生の娘と小学生の息子。一見、なんの問題もないような理想的な家庭です。
でも、それぞれの家族には、お互いに幸せな部分もあり、不幸な部分もある。目に見えるものも見えないものも、気づいているものの、気づいていないものも…。
そしてある嵐の夜、彼らは気づくことになるのです。
地上と地下、そこには大きな格差があるということに…。
高台に高所得者層の暮らす高級住宅地があり、川のほとりの低地に低所得者層が暮らす韓国社会の特徴を生かしたこの設定。
この設定が、韓国社会にも巣食う格差問題を描くこの作品に、どこかリアリティを与えています。とはいえ、社会問題を正面から描いたシリアスな作品ではなく、どこかファニーでファンタジック、ユーモアたっぷりで、さらにサスペンスフルでホラー風味もあったりします。
韓国のドメスティックな社会問題をユーモアをまぶしながら描き、世界を震撼させる映画『パラサイト 半地下の家族』。
韓国映画史上初の名誉にふさわしい、素晴らしい作品でした。
『パラサイト 半地下の家族』(132分/韓国/2019年)
原題:기생충
英題:Parasite
公開:2020年1月10日
配給:ビターズ・エンド
劇場:全国にて
監督・脚本:ポン・ジュノ
製作:クァク・シネ/ムン・ヤングォン/チャン・ヨンファン
脚本:ハン・ジヌォン
音楽:チョン・ジェイル
出演:ソン・ガンホ/イ・ソンギュン/チョ・ヨジョン/チェ・ウシク/パク・ソダム/イ・ジョンウン/チャン・ヘジン/チョン・ジソ/チョン・ヒョンジュン/パク・ソジュン
Official Website:http://www.parasite-mv.jp/
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