シャネル&ストラヴィンスキー / Coco Chanel & Igor Stravinsky
今も世界中の女性を魅了してやまないデザイナー、ココ・シャネルの情事を描いた映画『シャネル&ストラヴィンスキー』。
クリエイターの孤独を共有できる男としてシャネルに選ばれたのは、音楽家のイゴール・ストラヴィンスキーです。
この物語は創作であり、ふたりの間に起こった出来事は事実ではないらしいですが、事実かどうかはこの際関係ないでしょう。
選ばれた存在として、非凡な人生を送らざるをえない女性と、選ばれた存在でありながら平凡な日常に芸術家としての魂をすり減らす男性。
そんな男女の魂のぶつかり合いと、そこに参加できない平凡な女性の、捨て身の戦いを描いた物語です。
<STORY>
1913年、パリ・シャンゼリゼ劇場でイゴール・ストラヴィンスキー作曲のバレエ「春の祭典」が上演された。斬新なバレエは理解されず、劇場には怒号が響き渡る。その舞台を見ていたココ・シャネルは、その7年後、ストラヴィンスキーに経済支援を申し出る。パリ郊外のヴィラに家族ごと呼び寄せ、作曲活動を支援したのだ。そのうちに、シャネルとストラヴィンスキーは男女の関係になる。ストラヴィンスキーの妻は、じっと耐えていた。
<Cheeseの解説>
『ココ・シャネル』、『ココ・アヴァン・シャネル』と映画化が続いたココ・シャネルの物語。
先に挙げた2作と違い、本作『シャネル&ストラヴィンスキー』は、シャネルの芸術家としての魂と美意識を強烈に描いた映画です。
すぐれた芸術家でありながら、にぎやかな4人の子どもたちに囲まれ、彼らを食べさせて行くため、芸術のためではなく生活のために、音楽を作らなければいけないストラヴィンスキー。
シャネルは、妻のいる同じ屋敷内でストラヴィンスキーとセックスをすることで、ストラヴィンスキーに“芸術家の魂”を思い出させます。
特筆すべきは、彼らのセックス描写。
ロマンティックでも何でもなく、ただ生々しく、肉体同士がぶつかり合うようです。
“愛し合う”ための行為ではなく、ふたりの芸術家の“闘い”のように見えました。
そして、そんなふたりをじっと見守るストラヴィンスキーの妻・カトリーヌ。
彼女には、自分は芸術家ではないけれども、良き妻、賢き母、ストラヴィンスキーの芸術のよき支援者として、長年彼を支えてきたという自負がある。
自分自身には生活力はないけれども、ストラヴィンスキーの“生活”を支えられるのは自分だけだと信じているのです。
男性としては、“芸術”を支えてくれる女性と、“生活”を支えてくれる女性、両方そばにいてくれるのがベストなのかもしれませんが、さすがにそうは問屋が卸しませんよね。
それにしてもこの作品、すべてが本当に美しい。
Cheeseの大好きなアナ・ムグラリスの佇まいも美しいし、美意識に満ちたシャネルの別荘も、各室の設えが本当に素晴らしい。
あんな素敵なお部屋であんな素敵なお風呂に入りたいわー。。。
そしてもう1点。
イゴール・ストラヴィンスキーを演じているマッツ・ミケルセン、あんまり見ない俳優さんだなーと思っていたら、『007/カジノ・ロワイヤル』でル・シッフルを演じていた人なのですね。
『007/カジノ・ロワイヤル』も大好きな映画なので、また観た時には確認してみよう。
『シャネル&ストラヴィンスキー』(119分/フランス/2009年)
原題:Coco Chanel & Igor Stravinsky
公開:2010年1月16日
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
劇場:シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国にて
監督・脚色: ヤン・クーネン
アナ・ムグラリス/マッツ・ミケルセン/エレーナ・モロゾヴァ/ナターシャ・リンディンガー/グリゴリイ・マヌロフ
公式サイト:http://www.chanel-movie.com/
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