【舞台】港町純情オセロ／劇団☆新感線プロデュース

2011/5/6 舞台

久しぶりに舞台を観に行ってきました。
劇団☆新感線のいのうえひでのり演出、橋本じゅん主演の「港町純情オセロ」です。

これは、ウィリアム・シェイクスピアの「オセロー」を翻案し、1930年代の日本、港町・神部（かんべ）を舞台にした物語。
前作「鋼鉄番長」を腰部脊柱管狭窄症で降板したじゅんさんが見事復活し、暴れん坊っぷりを見せてくれます。

シェイクスピア劇だけあって、いわゆる新感線ぽいロック＆殺陣な時代劇アクションとはひと味もふた味も違いますが、ベッタベタなお笑いから、慟哭のラストまでを一気に見せてくれます。

まさか新感線で、まさかじゅんさんで泣かされることがあろうとは…。
ラスト、すすり泣く音が観客席から数多く聞こえて来たのが、かなり印象的でした。

＜STORY＞
1930年、港町・神部。日本＆ブラジルのハーフの藺牟田オセロは、赤穂組傘下の藺牟田組組長として街を仕切っていた。腰痛で入院した彼は、病院長の娘・モナと恋に落ちる。モナと駆け落ちした彼は、瀬戸中海から神部へとシマを広げようとしているヤクザとの抗争のため、小豆島（あずきじま）へとモナを連れて出向くことになる。そんなオセロに藺牟田組のナンバー3、ミミナシが囁く。「モナ様は結婚前から藺牟田組ナンバー2の汐見と情を通じていた」と。オセロの心の中に、嫉妬の火が燃え始めた。そして、オセロ、モナ、ミミナシの悲劇が幕を開ける…。

＜感想＞
さすが、シェイクスピア原作×いのうえひでのり。
愛するがゆえに沸き上がる疑惑、そして燃え上がる嫉妬、巻き起こる悲劇＆惨劇をケレン味たっぷりに見せてくれます。
これが男の純情ってヤツなのでしょう。

ところどころ差し挟まれる“昭和歌謡ショウ”や、おなじみのお約束ギャグ、じゅんさんの暴走なども新感線っぽくて、うれしいところ。
じゅんさんが田中哲司さんをなんとか笑わせようとして、ところどころ田中さんがオチていたのも良かったですね。

石原さとみちゃんは、純情可憐な箱入り娘を熱演。
純粋な関西弁とも違う微妙なイントネーションと声のトーン、男の愛を無条件に信じて無邪気に振る舞う様子は、フジテレビ系列の昼ドラマ「さくら心中」のさくらちゃんを彷彿とさせました。
あの微妙なイントネーションは女の私でもグラっとくるわー。
昭和レトロな感じのワンピースもキュートでしたね。

そして、イアーゴーにあたるミミナシを演じた田中哲司さんは、自分の嫉妬から、ヤクザの抗争物語を、愛の悲劇に方向転換させる重要な役柄。
一人セリフも多く、グイグイと舞台を引っ張っておられました。
まあ、個人的には、もうちょっと色悪っぽい雰囲気を出してくれても良かったのかなあと思ったりもしますが。。。
でも、あのじゅんさんの暴走に耐えて、一生懸命笑いをこらえている姿は、ちょっとツボです。

優男のインテリヤクザ・汐見を演じる伊礼彼方さん、ミミナシを慕うオカマヤクザを演じる大東俊介さんも良かったですね。
じゅんさんや田中さんの迫力にも負けず、のびのびと楽しそうに演じ、歌っていたのも印象的でした。

静と動、喜劇と悲劇の振り幅の広いこの作品、いのうえ演出ならではのシェイクスピア作品だと思います。
工藤官九郎脚本の「メタルマクベス」に続き、またもや素敵な作品を見せていただきました。

劇団☆新感線プロデュース「港町純情オセロ」
東京公演：2011年4月30日～5月15日
劇場：赤坂ACTシアター
原作：ウィリアム・シェイクスピア(松岡和子翻訳版｢オセロー｣ちくま文庫より)
脚色：青木豪
演出：いのうえひでのり
出演：橋本じゅん／石原さとみ／大東俊介／粟根まこと／松本まりか／伊礼彼方／田中哲司／右近健一／逆木圭一郎／河野まさと／村木よし子／インディ高橋／山本カナコ／礒野慎吾／吉田メタル／中谷さとみ／保坂エマ／村木仁／川原正嗣／前田悟／武田浩二／藤家剛／加藤学／川島弘之／西川瑞
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劇団☆新感線
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