横道世之介
沖田修一監督の長編映画3作目にして、沖田作品常連俳優の高良健吾くんが参加4作目にして初主演を果たした映画『横道世之介』。
実は私、沖田監督の前作『キツツキと雨』の公開時に沖田監督と高良くんにインタビューをさせていただいたことがあるのです。
その際に「今後こんな役をやってみたいという希望はありますか?」と質問をしたところ、
高良くん「そうですねー、(九州出身なので)九州弁を使う役柄がやってみたいですね」
沖田監督「いいねー、九州弁」
私「じゃあ、沖田監督の次回以降の作品で、ぜひ!」
みたいなやりとりがあったのですが、まさにこの『横道世之介』では高良くんが九州弁で演じているではないですか!
こういう企画が進んでいた上での、このやりとりだったのだなーと、なんだかしみじみしましたね。
そうそう、このインタビューの時の沖田監督と高良くんは、仲の良い先輩後輩のような、兄弟のような、とっても良い雰囲気でずっとしゃべっておられました。
なんだかウマがあうんでしょうね。
本作『横道世之介』は、その和気あいあいとした雰囲気が画面を通して伝わってくるような、愛にあふれた作品だと思います。
<STORY>
1987年。法政大学入学のため、長崎から東京に上京してきた横道世之介。大学では同級生の倉持一平たちとサンバ同好会に入り、高級ホテルでポーターのアルバイトなども始め、充実した日々を送っていた。一目惚れした片瀬千春のために弟のフリをしたりするが、男としてはまったく相手にされないままだ。ひょんなことから仲良くなった加藤雄介と自動車学校に通い始めた世之介は、お嬢様育ちの与謝野祥子とダブルデートすることになり…。
<Cheeseの解説>
『悪人』、『パレード』など、映画化が続く小説家・吉田修一の小説を沖田修一監督が映画化したこの作品。
沖田監督の中学校からの同級生である前田司郎が脚本を務め、沖田組の常連俳優である高良健吾が主演している、本当に爽やかな一作です。
なんといってもこの作品の魅力はキャラクターにあると言えるでしょう。
不思議なのんきさと明るさ、嫌みのない図々しさで不思議と人から愛される主人公の横道世之介に、お嬢様育ちでありながら笑い上戸で気取らない、世之介に思いを寄せる与謝野祥子。
祥子を演じる吉高由里子の可愛らしさも全開です(特にカーテンくるくるのシーン!これは萌える!!)。
他にも、同級生役の池松壮亮や綾野剛たちと世之介が交わす、大学一年生のボンクラ男子の会話などもとてもリアルで、観ながら思わず笑顔になってしまいました。
1987年という時代の空気感を35ミリフィルムで再現した映像も独特で、その時代の東京を知っている人にとっては、かなり懐かしさを感じられるのではないでしょうか。
まだ未来に希望を感じられた1987年という時代、19歳という希望にあふれた年齢の、邪気がなく素直な横道世之介という青年が、2012年に生きる私達にも笑顔を与えてくれました。
でも決して「昔は良かった」というような懐古的な作品ではなく、“人と人との繋がりが生み出すパワー”を感じさせてくれるような、優しく温かい青春物語に仕上がっています。
そうそう、そう言えば、この作品には高良健吾くんと吉高由里子ちゃんが出ているのですが、ARATA改め井浦新も出演しています。
この三人と言えば、2008年の蜷川幸雄監督の映画、『蛇にピアス』に出演し、かなりハードな演技を披露していましたね。
あれから4年後に、こんな可愛らしい映画に出演してこんなにキュートな演技を見せてくれるだなんて、やはり俳優さんの演技力とは、すごいものだと思います。。。
MYLOHASニュース:役所広司さん主演映画『キツツキと雨』 監督×高良健吾さん対談インタビュー:http://www.mylohas.net/2012/02/012197post_341.html
『横道世之介』(160分/日本/2012年)
公開:2013年2月23日
配給:ショウゲート
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
原作:吉田修一
監督・脚本:沖田修一
脚本:前田司郎
出演:高良健吾/吉高由里子/池松壮亮/伊藤歩/綾野剛/朝倉あき/黒川芽以/柄本佑/佐津川愛美/堀内敬子/大水洋介/田中こなつ/江口のりこ/眞島秀和/ムロツヨシ/黒田大輔/渋川清彦/広岡由里子/井浦新/國村隼/きたろう/余貴美子
公式HP:http://yonosuke-movie.com/
文藝春秋 (2012-11-09)
売り上げランキング: 1,362
売り上げランキング: 27,597
売り上げランキング: 13,212
売り上げランキング: 17,895
売り上げランキング: 3,334