【映画レビュー】豆富小僧
白くてぷるぷる、なんとも可愛らしい妖怪・豆富小僧が活躍する映画『豆富小僧』。
京極夏彦の小説「豆腐小僧双六道中ふりだし」を3DCGアニメにした本作は、お盆に豆腐を乗せて立っていることしかできない、ちっちゃい妖怪の豆富ちゃんが、“自分にできること”をがんばって成し遂げて行く物語。
深田恭子、武田鉄矢、松平健、小池徹平、大泉洋、宮迫博之といった、声優が本業ではない役者さんたちが、メインキャストの声優を務めているのですが、これがなかなかハマっています。
特に、袖引小僧役の小池徹平、死神役の大泉洋とか、ぴったりはまっていて良かったなぁ。
あ、それと、宮迫博之が演じている狸一族のボス・芝居者狸ですが、この作画がすごく凝ってます。
特に、眼球の動き。
左右違うタイミングで動いたり、じゃっかん三白眼になってたり、ものすごーいこだわりを感じさせてくれました。
STORY
妖怪総大将・見越し入道の息子でありながら、お盆に豆腐を乗せて立っているだけで、人間を怖がらせるどころか笑われてばかりの妖怪・豆富小僧。父親に叱られてお目付役の達磨先生と一緒に家出をした彼は、妖怪の敵・狸一族に騙されて、お堂に閉じ込められてしまう。しかし、お堂からやっと出られたと思ったら…そこは、21世紀の東京だった! 姿が見えない他の妖怪を探していた豆富は、妖怪を見ることができる人間の少女・アイと出会う。
解説
主人公の豆富ちゃんは、妖怪総大将・見越し入道の子ども。
そのために豆富ちゃんは、妖怪と敵対している狸一族から狙われて、お目付役の達磨先生と一緒にお堂に閉じ込められてしまいます。
お堂に閉じ込められた時は江戸時代だったのに、お堂から出られたら、そこは200年後の世界。
森や林はなくなり、そこにはコンクリートの建物ばかりが広がっていました。
東京に生きる人々は、もう誰も妖怪の姿など見ようとしません。
その中で唯一、豆富ちゃんを見つけてくれたのが、小学生のアイちゃん。
アイちゃんの母親は、亡き夫の遺志を継ぎ、夫と一緒に研究していた気象コントロールシステム、S.O.R.A(ソラ)を開発しようとしています。
このS.O.R.A、開発の意図は純粋なもの。
しかし、我欲にかられた人間たちが、このS.O.R.Aを悪用し、自然を支配しようとしていました。
その人間たちの背後には、狸一族がいて、狸たちが人間を操っていたのです…。
時あたかも、日本列島を台風が襲います。
荒れ狂う台風の空の下、人間たちを支配しようとする狸一族の陰謀を止めようと、小さな豆富ちゃんが立ち上がるのです…!
なんだか、自然への畏敬を忘れ、我欲に走った人間たちが自然からの報復を受けるという状況は、あの大震災を体験した我々が観ると、深く考えさせられるものがあります。
もしかしたら、今も豆富ちゃんのような存在が、人間たちを救おうと努力してくれているのかもしれません。
私たちも、そんな存在の信頼に足るだけの行動ができるといいのですが…。
さて、豆富ちゃんを始めとする妖怪たちが活躍するこの映画ですが、個性豊かな妖怪たちがたくさん登場しています。
武田鉄矢演じる達磨先生、松平健演じる見越し入道、大泉洋演じる死神、小池徹平演じる袖引き小僧、芝居者狸に八百八狸など、本当に個性豊か。
彼らの姿を見ているだけで、なんだか幸せな気分になります。
豆富ちゃんみたいな、何もしない、豆腐を持って立っているだけ、というような妖怪にも存在する理由と、存在する意味があるのです。
『豆富小僧』はそんな彼らをありのままに受け入れることの大切さや、自然を畏怖する心を思い出させてくれる、地味だけれどもいい映画でした。
作品情報
『豆富小僧』(86分/日本/2011年)
公開:2011年4月29日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:全国にて
原作:京極夏彦
総監督:杉井ギサブロー
監督:河原真明
声の出演:深田恭子/武田鉄矢/松平健/小池徹平/大泉洋/宮迫博之/平野綾/はるな愛/檀れい
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/tofukozo/
公式ブログ:http://blog.livedoor.jp/tofukozo_blog/
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