【映画レビュー】マイティ・ソー バトルロイヤル / Thor: Ragnarök
『マイティ・ソー』、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』に続く「マイティ・ソー」シリーズ第三弾となる映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』。
レッド・ツェッペリンの「移民の歌」とともに華々しく幕を開ける本作は、これまでの「マイティ・ソー」シリーズとはまったく違う、新章へとつながる作品。
タイカ・ワイティティ監督の面目躍如となる、楽しくも味わい深い一作です。
STORY
ソーとロキの父・オーディンが、アスガルドの歴史から消し去られた死の女神・ヘラに殺された。さらにヘラはソーのムジョルニアを破壊し、ソーとロキを宇宙の辺境へと飛ばし、自らアスガルドの統治を始める。ソーとロキは辺境の惑星・サカールに流れつき、そこで星の支配者のグランドマスターが開催する格闘大会に参加することに。そこには、同じくこの星に流れ着いたアベンジャーズの盟友・ハルクが最強王者として君臨していた…。
解説
マーベル・シネマティック・ユニバース17作目となる本作。このユニバースもフェイズ3に入り、「マイティ・ソー」シリーズの世界も、アスガルドとミッドガルドを飛び出し、物語が進んでいきます。
ケネス・ブラナーが監督していた第1作目のシェイクスピア劇のようなムードはどこかへ行ってしまい、今作は完全なるコメディ方向。
ソーが「移民の歌」と共にムジョルニアをぶん回して戦う冒頭から、ワイティティ監督はテンションをマックスに上げ、「この映画はこういうスタイルで行くよ」と宣言します。
そして、物語は怒涛の進撃を見せるのです。。。
この映画は、3幕から構成されています。
一つは、ソーとロキ、オーディンの家族の物語。
もう一つは、ソーがヘラに飛ばされた惑星サカールの物語。ここではコミックのような怒涛の格闘バトルロイヤルが行われます。
そして最後に、アスガルドの支配権をめぐる物語。オーディンの長子であり忘れられた“死の女神”ヘラに支配されたアスガルドを取り戻すため、ソー、ロキ、ヴァルキリー、ハルクからなる“リベンジャーズ”が立ち上がり、ヘラに挑むのです。
1幕目に当たるパートでは、ロキのオーディン追放、ドクター・ストレンジのゲスト出演、そしてヘラが登場し、オーディンの死が描かれます。
そして、ソーが尊敬してきたオーディンの実像が暴かれ、二人のオーディンの息子、オーディンソンはアスガルドを追放されてしまうのです。
そして2幕目。
ソーとロキは惑星サカールに飛ばされ、グランドマスターが支配するこの世界で、ソーはヴァルキリーと出会い、ハルクと再会します。
ここはもう、完全にタイカ・ワイティティ監督の独壇場のコミカルパート。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのようなノリで、マーベル・シネマティック・ユニバースの広がりを実感できるパートです。
ここでソー・オーディンソンは、アスガルド生まれの戦士・ヴァルキリーや記憶を失くしていたハルク、そして天敵であり愛弟のロキと、運命共同体の仲間“リベンジャーズ”になるのです。
そして、3幕目。
ソー率いるリベンジャーズはアスガルドに戻り、ヘラと対決します。
そして、アスガルドとは何か、王とは何かという真実に気づき、アスガルドの民を救うのです。
ここで王の息子でありオーディンソンだったソーは、アスガルドの王として君臨することになります。
ビフレストの守護者だったヘイムダルが救ったアスガルドの民衆と合流したソー。
言ってみれば、ソーは長い旅をして、王となるだけの力を身につけ、オーディンの最初の子どもであるヘラを倒し、名実共にアスガルドの王になるのです。
そして、オーディンが作った偽りに満ちたアスガルドではなく、真実の意味のアスガルドを守護していくことを決意するのです。
彼はもうオーディンソンではなく、唯一無二のアスガルドの王、ソーとなったと言えるでしょう。
そして、ここで再び鳴り響く「移民の歌」…。ここで観客は、映画の冒頭で流れたこの曲が映画の重大なテーマを表していたということに気づくのです。
いやー、タイカ・ワイティティ、やりよる。この構造に気づいた時、ちょっと胸が熱くなってしまいました。。。
この『マイティ・ソー バトルロイヤル』、コメディ映画の仮面をかぶってはいますが、神話で言うところ王の誕生譚と言えるでしょう。
ケヴィン・ファイギがさまざまな監督の才能を駆使して作り上げているマーベル・シネマティック・ユニバース、広さだけでなく深さにおいても、驚異的な広がりを見せています。
関連作レビュー
マイティ・ソー / Thor:http://c-movie.jp/review/thor/
マイティ・ソー/ダーク・ワールド / Thor: The Dark World:http://c-movie.jp/review/thor2/
マイティ・ソー バトルロイヤル / Thor: Ragnarök:http://c-movie.jp/review/thor3/
作品情報
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(131分/アメリカ/2017年)
原題:Thor: Ragnarök
公開:2017年11月3日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
監督:タイカ・ワイティティ
製作:ケヴィン・ファイギ
製作総指揮:ルイス・デスポジート/ビクトリア・アロンソ/ブラッド・ビンダーバウム
製作総指揮・出演:スタン・リー
音楽:マーク・マザーズボー
出演:クリス・ヘムズワース/マーク・ラファロ/トム・ヒドルストン/ケイト・ブランシェット/アンソニー・ホプキンス/浅野忠信/イドリス・エルバ/ジェフ・ゴールドブラム/テッサ・トンプソン/カール・アーバン/ベネディクト・カンバーバッチ/サム・ニール/マット・デイモン
声の出演:クランシー・ブラウン
Official Website:http://marvel.disney.co.jp/movie/thor-br.html
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