【映画レビュー】シェフ 三ツ星フードトラック始めました / Chef
ここのところ、「深夜食堂」、「孤独のグルメ」など、見るだけでお腹がすいてたまらなくなり、丁寧に作られたものをお腹いっぱい食べる歓びを感じさせてくれる、食堂映画、食堂ドラマとでも呼びたくなる作品が多く登場しています。
このブームは日本だけに留まらないのか、アメリカ発の素敵な食堂映画が登場しました。
それが本作、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。
「うおお〜、このクロックムッシュ、なんて美味しそうなの!」
「このパスタ…食べたい…」
「なんだこのキューバサンドイッチ。犯罪級に食べた過ぎる!」
などと、お腹がすいた状態で観に行った日には、悶え苦しむことになるかもしれません。
でも、日本人の哀しい性なのですかね。
「食べたい…、でも、カロリーが過ごそう。こんなの食べたら身体に良くないよね…」
と、思わず日和った感想を抱いてしまい、自分の器の小ささをも実感してしまいました。。。
<STORY>
LAの人気シェフ、カール・キャスパー。料理評論家に料理を酷評され、オーナーのリーヴァとも対立した彼は、レストランを辞めることになる。元妻のイネスからの提案で、彼女と息子のパーシーと一緒にマイアミに出かけたカールは、マイアミでキューバサンドイッチを食べ、フードトラックでキューバ料理の移動販売を始めることを決意。パーシー、そして仲間のマーティンと、共にマイアミからLAまで、営業しながらフードトラックで帰ることに。
<解説>
『アイアンマン』などの監督、ジョン・ファヴローが、その体型を活かし、監督・脚本・出演までこなした本作。
彼が最近監督を務めたアメコミ系大作とは予算規模からしてまったく違う、小規模なインディペンデント系作品です。
この作品の主人公は、LAで人気の一流レストランのシェフ、カール。
人気シェフではありますが、オーナーの言う通りのメニューばかりを作らされ、好きな料理を作らせてもらえません。
しかも、料理評論家にはその料理を酷評され、SNSで大げんかしてしまいます。
本当に自分の作りたい料理を作ったわけでもないのに、言われてオーナーに言われた通りの料理を酷評され、本当の自分の料理は作らせてもらえない。
そんな状況に腹を立てたカールは、レストランを辞めてしまいます。
そして紆余曲折を経て、フードトラックでキューバサンドイッチの移動販売をすることに。。。
このカール、腕のいいシェフではありますが、料理に夢中になりすぎて、いい夫、いい父ではいられませんでした。
それで離婚したため、息子のパーシーは元妻のイネスと暮らしています。
そんなカールがフードトラックを買ったのは、イネズ、パーシーと共に行ったフロリダ州のマイアミ。
ボロボロのフードトラックを、パーシーと一緒に掃除をして、一緒に備品を買いそろえ、移動販売ができるような状態にまで作り上げます。
そしてマイアミで営業を始め、ニューオリンズやテキサスなど、営業しながらトラックで旅をして、LAに戻っていくのです。
これまでどこか壁のあったカールとパーシーですが、この旅の途中で関係性が変わってきます。
カールは息子に“職人”としてプライドを持って料理に取り組んでいる様子を見せます。
そして、料理をする以上は、同じようなプライドを持って臨めと息子に示します。
パーシーは、働く父の姿を見て、これまで知らなかった父の偉大さを知ります。
カールもパーシーをパートナーとして扱うようになり、“父と息子”でありながら“男と男”のような関係を作っていくのです。
また、この作品で面白いのは、TwitterやVineと言ったSNSが、親子の絆を強め、彼らのビジネスを成功に導いていくところ。
カールの転落のきっかけとなったのもTwitterでしたが、フードトラックの宣伝を盛り上げたのもTwitterでした。
SNSなどに詳しいパーシーのツイートや動画の共有が、フードトラックの存在を世間に知らしめ、ファンを作り出していきます。
さらに、毎日移動するフードトラックの位置情報を、Twitterで告知することにより、近隣のお客にアピールし、お客を呼び寄せることができたのです。
料理のカール、デジタルネイティブのパーシー、お互いに能力を補完し合ってフードトラックを盛り上げ、旅を成功に導いたのです。
そして、パーシーが撮影していたVineの動画や1 Second Everyday の動画が、二人の旅の思い出を記録し、二人の繋がりを強くしていきました。
この父と子の一夏の思い出映像の数々、かなりグッと来ます。
さて、この映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。
美味しい料理、父と子の親子の絆、マイアミからLAへのロードムービーと、映画ファンにとって気になる要素満載の映画ではありますが、それに加えてもうひとつ、音楽も素晴らしいのです。
マイアミのクラブで「Oye Como Va」を歌うペリーコ・エルナンデス、テキサスの野外ステージで「When My Train Pulls In」を歌うゲイリー・クラーク・ジュニアなど、豪華なミュージシャンも出演。
他の曲もついつい体を揺らしたくなるような素晴らしい曲ばかりで、個人的にはサントラ購入決定です。
美味しい食べ物、素敵な音楽、素晴らしいドラマ。
人間の本能を刺激する要素がたっぷりつまった至福の115分を過ごさせてくれる映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』、本当にオススメの一作です。
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(115分/アメリカ/2014年)
原題:Chef
公開:2015年2月28日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:TOHOシネマズ シャンテほか全国にて
監督・脚本・出演:ジョン・ファヴロー
出演:ジョン・レグイザモ/ボビー・カナヴェイル/エムジェイ・アンソニー/スカーレット・ヨハンソン/ダスティン・ホフマン/ソフィア・ベルガラ/オリヴァー・プラット/エイミー・セダリス/ロバート・ダウニー Jr./グロリア・サンドバル/ラッセル・ピーターズ
Official Website:http://chef-movie.jp/
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