【映画レビュー】博士と彼女のセオリー / The Theory of Everything
現代宇宙理論に多大なる影響を与えた“車椅子に乗った天才”スティーヴン・ホーキング博士。
筋萎縮性側索硬化症という、筋肉が萎縮し筋力低下のために日常生活が困難になる神経変性疾患を抱えながらも、素晴らしい研究成果を修めている研究者です。
彼の研究内容を詳しくは知らなくとも、車椅子姿の彼の姿を写真やニュース映像などで見たことのある人は多いでしょう。
本作『博士と彼女のセオリー』は、そんなスティーヴン・ホーキング博士と妻・ジェーンの物語。
でも、本作は愛する夫をひたすら献身的に支えるだけの、ただ貞淑な妻の物語ではありません。
愛や友情や尊敬は、現実に負けることもある。
でも、巻き戻せない過去の時間は、確実に何かを育てられている。。。
自分を大事にすることが、相手を大事に思うということでもあり、その逆もまたしかり…という、“愛”や“夫婦”などの現実が、優しく描き出されています。
個人的には、1960年代の英国男子たちの素敵なスーツ姿に萌えました。
あの頃は、大学生がみんなスーツで大学に通っていたのね。素敵。。。
<STORY>
1963年、ケンブリッジ大学大学院で理論物理学を研究するスティーヴン・ホーキンスは、ジェーンと出会い、恋に落ちる。しかし、スティーヴンは運動ニューロン疾患で余命二年を宣告されてしまう。スティーヴンを愛するジェーンは彼との結婚を選択。やがて子どもたちも生まれ、1974年にはホーキング放射の理論を発表し、スティーヴンは時の人となる。車椅子のスティーヴンの介護、子どもたちの世話と、ジェーンは忙しい日々を送るが…。
<解説>
21歳で運動ニューロン疾患のため余命二年と宣告されたスティーヴン・ホーキンス博士。
彼は肉体的に大きなハンディを抱えつつ、愛する女性ジェーンと結婚します。
そして、余命宣告をものともせず、3人の子をもうけ、「ホーキング放射」と言った理論を発表。
病気のため身体が動けかすことができなくなり、言葉を発せなくなっても、研究を続けていきます。
この博士を26年にわたって支えたのが、妻のジェーン。
どんな夫婦でも、26年も一緒にいれば、様々な自体が起こります。
とても幸せな時もあれば、相手を憎く思ったり、口をききたくないと思う時もあるでしょう。
映画は、そんな夫婦の関係を丁寧に描き出します。
ジェーンは、スティーヴンの看護と子どもたちの世話のため、自分が学んでいた中世スペイン詩の研究もやめ、妻として母として、日々奮闘しています。
夫のために尽くす貞淑な妻、子どもたちの良き母、それだけでは満たされない想いもあるはず。
女性としての自分を大事にしたいと思う気持ちもあるはずです。
なのに、世間はそれを許してくれません。
夫のスティーヴンは、病気のため、自分の意志とは裏腹に、ジェーンがいなければ何もできません。
感情を表には出さなくとも、自分への苛立ちや妻への申し訳なさなどを感じているでしょう。
二人の間には、互いを愛するが故の葛藤や苛立ち、複雑な愛着などが渦巻いていたのだと思います。
そんな二人が、お互いを大事に思い、そして自分を大切にするために決めた選択。
それは何よりも重視されるべきものでしょう。
ジェームズ・マーシュ監督は、二人の“愛”を丁寧に描き、そして二人が積み重ねた“時間”を何よりも尊いものとして見せてくれました。
26年の夫婦生活、それは当の夫婦にしかわからないものだと思います。
さて、この作品でALS患者のスティーヴン・ホーキンスを演じたのは、『レ・ミゼラブル』のエディ・レッドメイン。
初期の大学生時代から25年にわたる病状の変化を見事に体現してみせています。
これはまさにアカデミー級の演技と言えるのではないでしょうか。
『博士と彼女のセオリー』(124分/イギリス/2014年)
原題:The Theory of Everything
公開:2015年3月13日
配給:東宝東和
劇場:全国にて
監督:ジェームズ・マーシュ
原作:ジェーン・ホーキング
出演:エディ・レッドメイン/フェリシティ・ジョーンズ/チャーリー・コックス/エミリー・ワトソン/サイモン・マクバーニー
Official Website:http://hakase.link/
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