【映画レビュー】グランド・マスター / 一代宗師
なんと美しい!
なんと完璧!
その美しさに溜息をつき、その完璧な緩急やバランスに見惚れたアクション映画『グランド・マスター』。
もう、個人的にはあの駅の決闘シーンを見られただけで、大満足です。
あのバランス、あのメリハリ、あの色彩感覚! 素晴らしい!!
アクション映画のイメージを覆すこの作品、ウォン・カーウァイらしい静謐な芸術性に満ちた一作です。
<STORY>
1936年、中国の武道家・宮宝森(ゴン・パオセン)は引退を決意。北の八卦掌の宗師(グランドマスター)である彼は南北の武術の統一を願い、南の佛山で引退試合を開き、自分に勝った者に“真の宗師”として使命を任せようとする。南の葉問(イップ・マン)はその試合に参加し、数々の武術家を倒し、パオセンから南北統一の使命を託される。しかしパオセンの娘・梅若(ルオメイ)はそれを許さず、イップ・マンと戦う。ルオメイは父から受け継いだ奥義六十四手を披露し、イップ・マンに勝利。二人の間には武術家として、男女として、何かが芽生えていた…。
<解説>
ブルース・リーの師匠であるイップ・マンの半生を描いたこの作品。
詠春拳の宗師(グランド・マスター)である彼と、形意拳の宗師である宮宝森(ゴン・パオセン)とその娘・梅若(ルオメイ)との因縁を中心に物語は進んでいきます。
正直なところ、前情報を知らずに観ると、彼らがなんのために何と戦っているのかはわかりづらいかも知れません。
でも、この作品は物語を理解するよりも激動の時代の中で戦いに命をかけるグランド・マスターたちの生き様と、彼らの華麗な戦いを体感し、その映像にひたるのが正しい味わい方と言えるように思います。
この映画のために、イップ・マンを演じたトニー・レオン、ルオメイを演じたチャン・ツィイー、マーサンを演じるマックス・チャン、カミソリを演じたチャン・チェンは、撮影前に4年間も本格的な武術の訓練を受けたのだそう。
その訓練の甲斐あって、カミソリ役のチャン・チェンは2012年に行われた八極拳全国大会に出場し、なんと優勝してしまったそうなのです。
それだけ本格的な訓練を積んだ俳優たちが、派手さではなく、完成された動きの美しさで見せるアクション映画、それがこの映画『グランド・マスター』。
チャン・イーモウの『HERO』や『LOVERS』が好きな方にはオススメの一作です。
『グランド・マスター』(123分/香港=中国=フランス/2013年)
原題:一代宗師
英題:The Grandmaster
公開:2013年5月31日
配給:ギャガ
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
監督・脚本・製作:ウォン・カーウァイ
武術指導:ユエン・ウーピン
音楽:梅林茂
出演:トニー・レオン/チャン・ツィイー/チャン・チェン/マックス・チャン/ソン・ヘギョ/チャオ・ベンシャン/シャオ・シェンヤン/カン・リー
公式HP:http://grandmaster.gaga.ne.jp/
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