【映画レビュー】エンジェル ウォーズ / Sucker Punch
『300<スリーハンドレッド>』でガチムチ男たちの華麗なる戦いをこだわりの映像美で描いたザック・スナイダー監督が、またまたやってくれました。
今度はミニスカセーラー服を着たブロンド・ツインテール少女が、日本刀とマシンガンを手にいろいろなクリーチャーたちをなぎ倒していく物語。
ザック監督の趣味感たっぷりのカルト作品と言えましょう。
私はこういう作品が大好きなので、バーレスク風の最後のエンドロールまでノリノリで楽しんでしまいましたが、合わない人は合わないかもしれないなあ。
この新作のタイトルは、『エンジェル ウォーズ』。
「SUCKER PUNCH」という原題がなぜこうなったのか、割と物議を醸している向きもありますが…、まあ、邦題つけるのは難しかったであろうことは、想像に難くありません。
カタカナの「サッカー・パンチ」じゃあサッカー(蹴球)の映画みたいだし。
(本来の意味は「突然の一撃」というような意味だそうです。)
黎明期のハリウッド映画の邦題のように、日本語のシブいタイトルにすれば良かったんじゃないかとも思いますが、考えるとやっぱり難しいですね。。。
<STORY>
母親を亡くし、遺産を狙う義父に精神医療施設に入れられた少女・ベイビードール。その施設にはスイートピー、ロケット、ブロンディ、アンバーという少女たちもいた。ベイビードールは施設からの脱出を夢見て、想像の翼を広げる。自分たちは妾館に監禁された娼婦なのだと。そしてさらに彼女は空想する。自由になるための戦いを。その空想の中で、賢人は彼女に告げた。「地図、火、ナイフ、鍵、そしてもう一つ、あるものを手に入れろ…」
<解説>
この映画には、ストーリーらしいストーリーはありません。
母親に死なれ、義理の父に殺されそうになり、反撃しようとして誤って妹を殺してしまった少女・ベイビードール。
義理の父親はそんな彼女を精神錯乱者として精神医療施設に入れてしまいます。
この物語は、そうやって精神医療施設に入れられた少女の心の中の戦いを描いているものです。
施設の中で少女は、自分たちがいるところは妾館だと想像します。
そして、その妾館から脱出するために、彼女は仲間のスイートピー、ロケット、ブロンディ、アンバーたちを誘い、作戦を立てるのです。
人々を魅了する力を持つ、ベイビードールの不思議なダンス。
脱出のためのキーアイテムを持つ人々がそのダンスに見とれている間に、仲間たちが力を合わせてそのアイテムを盗み出す…というのが、作戦の概要です。
そして、その作戦中、ベイビードールはさらに空想を広げます。
彼女が踊っている間、空想の中で、彼女とその仲間たちは、異空間でミッションを繰り広げているのです。
そのミッションの場所は、日本の寺院であったり、ヨーロッパの古城であったり、第二次世界大戦下のドイツ軍戦地であったり、いろいろです。
その中で彼女たちは、セクシーな衣装に身を包み、日本刀やマシンガン、戦闘用ロボットなどを駆使し、不気味なクリーチャーたちとド派手な戦いを繰り広げるのでした。
この戦闘の模様が、なんと言ってもこの映画の一番の見所です。
ギミックを駆使した映像美、美女たちが繰り広げる体を張ったアクション、日本のロボットアニメを思わせる戦闘メカなど、かなりマニア受けしそうなもの。
敵であるクリーチャーも、日本の武将の姿をしていたり、ドイツ兵の姿をしていたり、モンスターだったり、近未来風のロボットだったり。
この造形も凝っていて、観ていてワクワクしました。
こうやって、様々な敵と戦いながら、彼女たちは強くなり、結束を固めて行くのですが…。
彼女たちの戦いに何か意味があったかと言えば、なかったのかもしれません。
しかし、彼女たちを従順な患者と思っていた人間たちに“突然の一撃”をブチかまし、彼女たちが自分の意思を持って生きていることを証明して見せたのです。それが、例え一瞬だとしても…。
現実は過酷だけれど、彼女たちは心の自由を失っていないのです。
美少女たちが厳しい現実と対決し、自分の生きる意味を見つけて行く様子を、ケレン味あふれる映像で描いた本作、個人的にはかなりオススメです。
戦う美少女が好きな方、『300<スリーハンドレッド>』の世界(凝りに凝った映像や、ムダに思えるような大げさな“タメ”や、意味のないような深いようなよくわからない叫び、バランスがおかしい大きなキャラクタなど…)が好きな方は、ぜひぜひ観てみてください。
そうそう、ユーリズミックスの「スイート・ドリームス」を主演のエミリー・ブラウニング が歌っていたり、エンドロールでカーラ・グギノとオスカー・アイザックがデュエットしていたり、作品内で使われている音楽にもザック・スナイダー監督のこだわりが詰まっています。
これはサントラも買いだな。。。
『エンジェル ウォーズ』(110分/アメリカ/2011年)
原題:Sucker Punch
公開:2011年4月15日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:丸の内ピカデリーほか全国にて
原案・監督・製作・脚本:ザック・スナイダー
製作総指揮:ジョン・ジャシュニ
出演:エミリー・ブラウニング/ヴァネッサ・ハジェンズ/アビー・コーニッシュ/ジェイミー・チャン/ジェナ・マローン/カーラ・グギノ/ジョン・ハム/スコット・グレン/オスカー・アイザック/ライアン・ロビンス/マイケル・ジェイ・ホワイト
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/suckerpunch/
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