【映画レビュー】サイド・エフェクト / Side Effects
『ガールフレンド・エクスペリエンス』、『コンテイジョン』、『エージェント・マロリー』、『マジック・マイク』、と、ここ数年だけでも様々なテーマ、様々なタッチの作品を矢継ぎ早に作り続けて来たスティーヴン・ソダーバーグ。
そのソダーバーグ監督、最後の劇場版映画作品と言われているのがこの映画『サイド・エフェクト』です。
前作『マジック・マイク』に続きチャニング・テイタムが出てたりしますが、本作では脱ぎはなし。
チャニング・テイタムはルーニー・マーラ演じる妻・エミリーにあっさり刺殺される能天気な夫役だったりします。
なんか、これはこれでチャニング・テイタムらしい魅力もあるよねー、なんて思ったり。。。
それにしても、いろいろなタッチの映画を撮って来ているソダーバーグですが、彼のここ数年の映画すべてに共通するのは、“虚業への嫌悪感”というところでしょうか。
右から左へお金を移動させて利益を作り出す金融業界への嫌悪感、人びとの欲望を歓喜して需要を作り出す広告業界への嫌悪感。
この作品ではそれらに加え、以前からあったけれど病気ではなかった症状に名前を与え、“病気”を作り出す精神科医療業界、そしてそんな症状に効くと歌う薬を開発し副作用でさらなる“病気”を併発させる医薬品業界への嫌悪感を、強くにじませています。
STORY
精神科医のジョナサン・バンクスは、エミリーという若い女性を診察する。彼女は夫の出所を機にうつ病が再発したらしい。かつてのエミリー主治医・シーバート博士に相談を持ちかけたバンクスは、彼女のアドバイスでアブリクサという新薬を処方。エミリーはアブリクサを気に入るが、服用中に無意識のまま、夫をナイフで刺し殺してしまう。薬の副作用で殺人を起こしたというエミリーの主張により、主治医のバンクスの評判はガタ落ちし…。
解説
この映画のタイトル『サイド・エフェクト』は、“副作用”を意味しています。
新薬の副作用により夢遊病状態になり、そのために夫を殺してしまった若妻・エミリーと、エミリーに新薬を処方してしまったがため、法的な責任は問われないものの、社会的に失墜しそうになってしまう精神科医・バンクスをめぐるこの物語。
このタイトルは単純に、薬の“副作用”という意味でもあります。
でも、それに加え、虚業によってセレブな生活を送る人びと(エミリーの夫)や広告業界でマーケティングにより需要を作り出す職場(エミリーの会社)、患者に新たな新薬を処方し製薬会社からお金をもらう精神科医(エミリーの元主治医、そして現主治医のバンクス)に当てられた患者(エミリー)に発症した“副作用”を意味してもいるのでしょう。
病気は一番弱い部分から発症すると言います。
ローンで大学に行き、アルバイト中にリッチな金融業の夫と出会い結婚、セレブな生活を手に入れたかと思ったものの、夫がインサイダー取引で捕まってしまい、刑務所に入った夫を5年間も待ち続けたエミリー。
彼女はしたたかで強い女性のようでもありますが、やはり一番もろい存在でもあるのだと思います。
彼女は、マーケティングや広告に踊らされ、物質的な幸せを手に入れようと無理を重ねる現代の若い女性の代表でもあるのでしょう。
このエミリーを演じるルーニー・マーラ、折れそうなほど細い体に可憐な表情で、観客を魅了し続けます。
バンクス医師を演じるジュード・ロウは、そんな彼女の迫力にどうしても負けてしまっている気が…。
ルーニー・マーラ、そしてエミリーの元主治医を演じるキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、バンクスの妻を演じるヴィネッサ・ショウら、女優陣の演技に思わず引き込まれてしまうこの作品。
女性の恐ろしさ、浅はかさ、現金さをよーく表している、恐ろしい作品です。
作品情報
『サイド・エフェクト』(106分/アメリカ/2013年)
原題:Side Effects
公開:2013年9月6日
配給:プレシディオ
劇場:TOHOシネマズみゆき座ほか全国にて
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:スコット・バーンズ
出演:ジュード・ロウ/ルーニー・マーラ/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/チャニング・テイタム/ヴィネッサ・ショウ/アン・ダウド/ポリー・ドレイパー/デヴィッド・コスタビル/メイミー・ガマー
公式HP:http://www.side-effects.jp/
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