【映画レビュー】サンブンノイチ
なんだか、映画大好きな映画学科の学生が十分な資金を与えられ、やりたかったことをそのまま形にしたような映画『サンブンノイチ』。
いい意味で、監督の若さと勢い、そしてやりたいことをそのままやってみせようとする素直さが、たっぷり詰まっています。
いくらクエンティン・タランティーノ監督のことが大好きでも、ここまでタランティーノタランティーノ言ってる作品はなかなか撮れないものだと思いますが、それを臆面もなくやってみせる品川監督、本当にタランティーノのことが大好きなんだろうなあ。
裏切り裏切られ、どんどんと転がり続けるストーリーと、しゃべくりでストーリーを回して行くこのストーリー、まさに“映画好きのお笑い芸人”だからこそ作ることのできた映画だと思います。
「お笑い芸人の監督作品ってどうなの?」という偏見をくつがえすパワーを秘めた、予想外の快作と言えるでしょう。
<STORY>
川崎にあるキャバクラ“ハニーバニー”で雇われ店長をしているシュウは、店の売上金400万円を紛失してしまう。オーナー・破魔翔の報復を恐れたシュウは、川崎の地下世界で伝説的金貸し・渋柿から1週間の期限で高利で金を借りることに。その借金を返すため、元女優のキャバ嬢・まりあの提案で、可愛がっているボーイのコジ、焼肉店のオーナーでキャバクラ常連の健さんを誘い、銀行強盗を実行する。見事1億6000千万円を手にした彼らだが…。
<解説>
お笑いコンビ・品川庄司の品川ヒロシが監督を手がけた本作。
品川監督にとっては、この作品が映画第三作目にして初の原作付きの映画となります。
原作者の木下半太と監督の品川ヒロシは二人とも同世代で、クエンティン・タランティーノの大ファン同士だそう。
だから、いい意味でも悪い意味でも魅力的な大勢のキャラクターたちが登場し、暴力描写とユーモアがほどよくブレンドされ、ストーリーに関係のないおしゃべりがどんどんと続いて行きながらいつのまにかストーリーが進んでいる…、というような、タランティーノ作品を意識した映画になっているわけですね。
情けないキャバクラ店長の藤原竜也、体はキレるが頭が悪いボーイ役の田中聖、関西人のデブハゲオヤジ役の小杉竜一(ブラックマヨネーズ)のほか、窪塚洋介、池畑慎之介☆ら濃ゆ~い役者たちが濃い物語を繰り広げています。
多少、小杉竜一の口が回りすぎてコントみたいになっているきらいはありますが、全体的にコンビネーションが素晴らしい。
ギリギリ、悪ノリになり過ぎない程度にふざけつつも、その演技のかけあいのテンポの良さが、映画的快感を味わわせてくれるのです。
特に田中聖、本当に川崎にいるヤンキーにしか見えないあたりも素晴らしい。ホントに路上でケンカしてそうですもんね。
でも、ひとつ気になった点も。
うーん、中島美嘉はどうしていつもあんなにハードルの高い役柄にチャレンジしようとするのか…、もうちょっと、彼女にあった役があるのではないかと思うんだけどなあ。
『サンブンノイチ』(119分/日本/2014年)
公開:2014年4月1日
配給:KADOKAWA
劇場:全国にて
原作:木下半太
監督・脚本:品川ヒロシ
出演:藤原竜也/田中聖/小杉竜一/中島美嘉/窪塚洋介/池畑慎之介☆/木村了/哀川翔/庄司智春/海原ともこ
公式HP:http://www.sanbunnoichi.jp/
よしもとミュージックエンタテインメント (2014-08-08T00:00:01Z)
¥1,544
よしもとミュージックエンタテインメント (2014-08-08T00:00:01Z)
¥558
売り上げランキング: 2,371
メディアファクトリー (2014-04-09)
売り上げランキング: 1,051
KADOKAWA/角川書店 (2014-01-25)
売り上げランキング: 38,799
KADOKAWA/角川書店 (2014-02-25)
売り上げランキング: 28,724