【映画レビュー】猿の惑星:創世記(ジェネシス) / Rise of the Planet of the Apes
あの名作「猿の惑星」シリーズのエピソード1的物語『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』。
猿が知性を身に着け、人類が滅亡へのカウントダウンに入るまでの出来事を描いています。
その一連の出来事の根底にあるのは、家族への“愛”。
家族への“愛”=人間の“エゴ”でもあり、例え善意からしたことでもあっても、エゴが人類の滅亡を招くというのは、やはり皮肉なものです。。。
<STORY>
ウィルは、製薬会社でアルツハイマーの新薬を研究していた。動物実験の結果、目覚ましい知能の伸びを見せたメスのチンパンジーがいた。ウィルはそのチンパンジーの産み落とした赤ん坊を、家で育てることにする。シーザーと名付けた彼も、高い知能を持っていた。ある日、家族を守るため隣人に襲いかかったシーザーは、霊長類保護施設に入れられることになる。そこで陰湿な虐待を受けたシーザーは、人間に対する憎しみを募らせていく…。
<解説>
この作品は、冒頭で言ったとおり、家族愛、親子愛を描いた物語。
人間に育てられた天才猿・シーザーが、人間を愛し、人間に裏切られ、人間に絶望する姿を描いているのです。
そこらの人間などより高い知能や知性を持っているにも関わらず、育ての親と引き離されて虐待を受け、人間に絶望を募らせていく様子には、なんともエモーショナルで心を動かされます。
この猿、シーザーを演じているのは、アンディ・サーキス。
ピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでゴラムを、『キング・コング』でキング・コングをパフォーマンス・キャプチャーで演じた、この分野の第一人者が、この作品でもパフォーマンス・キャプチャーでシーザーを演じているのです。
ジェームズ・フランコを演じる親代わりのウィルと別れる時、彼はなんとも切なげで哀しい顔を見せます。
彼の豊かな表情があってこそ、この物語が持つ哀しさが引き立つのです。
「ハリー・ポッター」シリーズでドラコを演じていたトム・フェルトンが、本作では猿を蔑み虐待する、霊長類保護施設の職員を演じています。
霊長類保護施設にいる猿たちの間でも、ヒエラルキーがあります。
社会に不満を持つ者が、自分よりさらに低い位置にいる者を虐げる。
虐げられた者はどんどん不満をため、鬱屈していく。
そして、やがて、ある機会をきっかけに、いつかその不満は爆発する…!
生まれつき知性を持っていたシーザーが、知性のない他の猿たちに知性を与え、“尊厳”を教えます。
尊厳に目覚め、さらに、自己犠牲の精神などにも目覚めていく彼らは、シーザーと共に立ち上がります。
自分たちを蔑んできた人間たちに対抗し、新しい世界を作ろうとする猿たちの高邁な志が、人間と同様に堕落することがなければよいのですが。。。
新鋭ルパート・ワイアット監督は、かつての名作に臆することなく、現代の最新技術を使い、素晴らしい作品に仕上げてくれたと思います。
別コラム:オトコに見せたいこの映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(106分/アメリカ/2011年)
原題:Rise of the Planet of the Apes
公開:2011年10月7日
配給:20世紀フォックス映画
劇場:全国にて
監督:ルパート・ワイアット
出演:ジェームズ・フランコ/フリーダ・ピント/アンディ・サーキス/トム・フェルトン/ブライアン・コックス/ジョン・リスゴー/デイヴィッド・ヒューレット/タイラー・ラビン/ジェイミー・ハリス/チェラー・ホースダル/デイヴィッド・オイェロウォ/ソニヤ・ベネット/カリン・コノヴァル/リア・ギブソン
公式HP:http://www.foxmovies.jp/saruwaku/
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