【映画レビュー】マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年 / Manolo: The Boy Who Made Shoes for Lizards
数々の女性を魅了する美しい靴を作り続ける靴デザイナーのマノロ・ブラニク。
この映画『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』は、マノロ・ブラニクと45年にわたる友人でもあるマイケル・ロバーツによって描かれたファッションドキュメンタリーです。
個人的には、フェンディのバケットは差し出せてもマノロの靴はあげられないというサラ・ジェシカ・パーカーの映像や、盟友でもあるジョン・ガリアーノとのガールズトークに萌えました。。。
<STORY>
スペインはカナリア諸島の美しい自然の中で育ったマノロ・ブラニク少年は、チョコレートの包み紙でトカゲに靴を作るのが好きだった…。そんな彼は成長し、ファッションに目覚める。アメリカ版「ヴォーグ」の編集長、ダイアナ・ヴリーランドから靴にフォーカスすることを勧められた彼は、1970年代初期にロンドンにショップを開く。彼が作る美しい靴は、やがて多くの女性から愛されるようになる…。今もミラノの工房で靴職人として靴を作り続けるマノロを追う。
<解説>
子どもの頃から靴を愛した青年が、だんだんとその頭角を現してダイアナ・ヴリーランドに見出され、世界中のセレブからその靴を愛されるようになる…。
そんな、靴職人としての天性の才能と時流の運、多くの人たちから愛を受けた幸せな仕事人の軌跡を、友人でもあるマイケル・ロバーツ監督が映画化したのが、本作『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』です。
彼は1970年代から、パロマ・ピカソやアンジェリカ・ヒューストンらと親交を持ち、ファッション界で名を上げてきました。
そしてその後、彼の“世界で唯一走れるピンヒール”と呼ばれるエレガントな靴やミュールが、ダイアナ妃を始めとする世界中のセレブ達に人気を得ていくのです。
マイケル・ロバーツは彼を昔から知るセレブやスタッフにインタビューを重ね、知られざる彼の人間性を紐解いていきます。
スタッフが語る彼の完璧主義ぶりや、長年の友人であり顧客でもあるルパート・エヴェレットの語る彼の美へのこだわり、デザイナー同士でクリエーティブの苦しみを知る同士でもあるジョン・ガリアーノとの身内のようなはしゃいだガールズトーク、彼の顧客である女性たちが語る彼の才能への賛美…。
それぞれに、マノロの違う一面が浮かび出てきます。
また、長年の友人でもあるマイケル・ロバーツ監督がインタビュイーを務めているからこそ出るようなちょっとした皮肉や軽口などからも、ファッションを愛するマノロの素顔が伝わってくるのです。
もちろん、彼の作った美しい靴のアーカイブ、靴職人としての靴を作る姿、彼の創作の過程などが収められた映像も美しく、まさに眼福の一言。
女性ならばきっと、マノロのハイヒールを手に入れて、おしゃれをして出かけたくなる、そんなファッションドキュメンタリーでした。
『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』(89分/イギリス/2017年)
原題:Manolo: The Boy Who Made Shoes for Lizards
公開:2017年12月23日
配給:コムストック・グループ
劇場:新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて
監督・脚本:マイケル・ロバーツ
出演:マノロ・ブラニク/アナ・ウィンター/リアーナ/パロマ・ピカソ/シャーロット・オリンピア/イマン/アンジェリカ・ヒューストン/ジョン・ガリアーノ/ソフィア・コッポラ/ルパート・エヴェレット
Official Website:http://manolo-tokage.com/