【映画レビュー】カラカラ / KARAKARA
泡盛を入れる器・カラカラ。
小さな注ぎ口がついた可愛い形は、沖縄料理のお店などでもおなじみです。
昔のカラカラには小さな陶器の破片が中に入っていて、空っぽの状態で降ると「カラカラカラカラ」と音がしたそうです。
まるで、「もう空っぽになっちゃったよ、早く泡盛入れてよう」と催促するみたいに…。
このカラカラをタイトルに抱くのが、この映画『カラカラ』。
カナダ人映画監督クロード・ガニオンが、沖縄を舞台にして製作した、日本・カナダの合同映画です。
<STORY>
大学教授の職を引退し、カナダから沖縄に旅行にやって来たピエールは、道に迷っていた所を主婦の純子に助けられる。英語が堪能な純子は、ピエールの案内を申し出る。夫からのDVに怯えていた純子はピエールの優しさに惹かれ、肉体関係をもってしまうのだった。家出をしてきた純子に戸惑いつつも、ピエールはもともと予定していた伊是名島や伊平屋島への旅に純子を動向させる。二人は沖縄の風に吹かれ、人生について思いを深めていく…。
<解説>
沖縄の地で出会ったカナダ人男性と日本人女性。
まったく違う環境で生きてきた二人が、偶然の出会いから一緒に旅をすることによって、これまでの自分の殻を打ち破っていく物語です。
良い夫を演じてきた結果、妻にも逃げられ子どもにもバカにされ、追い打ちをかけるように親友を亡くし、理想とかけ離れた自分の姿に打ちひしがれて日本にやって来たピエール。
慣れない沖縄に越してきて、夫からはDVを受け、息子ともうまくいかず、悶々とした日々を送る純子。
そんな二人がぶつかりあいながら沖縄の小島を旅し、大らかな沖縄の人びとや、自然の中で自然に逆らわずに生きる暮らしを目にしていくことで、自分の気持ちに逆らわず“本当の自分の気持ち”を口に出せるようになります。
カナダ人監督が捕らえた沖縄の小島の景色は、日本に生きる人間にもどこか新鮮に映ります。
純子の最後の決断は「マイケル・ムーアって!」と、ちょっと驚きというか失笑というか、外国の人頼みかーと日本人としてはちょっと哀しい思いもしましたが、カナダ人にとっては別に当たり前のことなのかも、という気も。
そういう意味でも、日本人とカナダ人が出会って繰り広げていくこの映画『カラカラ』は、日本人にとって不思議な後感を与えてくれる一作です。
MYLOHASニュース:心が空っぽになりそうなとき……沖縄の自然と人が癒してくれるロードムービー【1/19公開】:http://www.mylohas.net/2013/01/027022119_1.html
『カラカラ』(104分/日本=カナダ/2012年)
原題:KARAKARA
公開:2013年1月19日
配給:ククルビジョン、ビターズ・エンド
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
監督・脚本:クロード・ガニオン
出演:ガブリエル・アルカン/工藤夕貴/富田めぐみ/あったゆういち/諸見敏/ジョン・ポッター/奥田天遊/一瀬隆之/平良美恵子
公式HP:http://www.bitters.co.jp/karakara/