【映画レビュー】アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー / Iris
私にはひとつ夢があります。
それは、ヴィヴィアン・ウエストウッドの似合うおばあちゃんになること。
いくつになっても自分の好きな洋服を着て、自由なスタイルを楽しめればいいなあと思っています。
というわけで、ファッショナブルなおばあちゃんやおじいちゃんを見かけると、ついつい憧れの目で見つめてしまうのです。
そんな私にとって憧れの存在が、このドキュメンタリー映画『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』の主人公、アイリス・アプフェル。
彼女の自分のスタイルを貫く生き方と、確立したファッションセンスに憧れずにはいられません。
<STORY>
アイリス・アプフェルは、夫のカールともに会社を興し、インテリアビジネス界で大成功した女性。90代となった今となっても、銀髪のショートカットに大きな丸メガネ、カラフルな衣装に大ぶりのコスチュームジュエリーを身につけ、ニューヨークののファッションアイコンとして休む間も無く仕事にいそしんでいる。2005年にメトロポリタン美術館で彼女の所有するコスチューム・ジュエリーのコレクション展示が行われて以来、彼女は全米の注目の的となっている。
<解説>
大ぶりのコスチューム・ジュエリーをジャラジャラと重ね付けし、はっきりしたコントラストの衣装を身につけたアイリス・アプフェル。
思わず二度見してしまいそうな派手さですが、調和がとれていてとてもきれいにまとまっています。
彼女は、独自のセンスで組み合わせたファッションで、1950年代からニューヨーク・セレブの間で知られてきた存在でした。
そんな彼女の持つコスチュームジュエリーや世界各国のテキスタイル、衣装のコレクションは相当な数にのぼります。
そのアイリス・アプフェル、2005年のメトロポリタン美術館でのコレクション展示以来、一躍全米で知られるファッションアイコンとなりました。
ちょっとマイケル・ケインに似たキュートな夫・カールというパートナーが常にそばにいて、ビジネスでも成功し、ファッションアイコンとしても知られる彼女。
魅力的なのはそのファッション・センスやキャリア・ウーマンぶりだけではありません。
彼女の魅力は、やはり彼女がたくさん抱いている“愛”と“美学”。
夫のカールを愛し、ファッションを愛し、仕事を愛し、人生を愛し、その愛を自分の美学に従いながら表現しているのです。
しかし、一見何もかもを手にしているかのように見える彼女ですが、持っていないものもあるのです。
そのことに話が及んだ時、彼女は静かに「すべてを手にする事はできないわ」と語ります。
それは、葛藤を経て、達観へと至った人間だけが持つ、静かさのように感じました。
その答えがあることで、このドキュメンタリーがぐっと深いものになっているように思います。
彼女から、この答えを引き出したのは、ドキュメンタリー映画の巨匠として知られたアルバート・メイスルズ監督。
2015年3月5日に88歳で亡くなったアルバート・メイスルズにとって、本作は遺作となってしまいました。
20世紀、21世紀と自分のスタイルを貫いた女性の生き方を描く本作、アイリスの語る言葉の一つ一つが心に響く、素晴らしいドキュメンタリー映画です。
『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(80分/アメリカ/2015年)
原題:Iris
公開:2016年03月05日
配給:KADOKAWA
劇場:角川シネマ有楽町ほか全国にて
監督:アルバート・メイズルス
出演:アイリス・アプフェル/カール・アプフェル/マーガレット・ラッセル/ハロルド・コーダ/ドリス・ヴァン・ノッテン/カニエ・ウェスト/ブルース・ウェーバー/リンダ・ファーゴ/アレキサンダー・ワン/ローリー・ジェヴィス/ジェナ・ライオンズ/ナイーム・カーン/ビル・カニンガム/タヴィ・ジェヴィンソン/ミッキー・ボードマン
Official Website:http://irisapfel-movie.jp/
KADOKAWA / 角川書店 (2016-09-21T00:00:01Z)
¥3,480
売り上げランキング: 5,357
売り上げランキング: 4,980
売り上げランキング: 10,016
売り上げランキング: 25,988