【映画レビュー】ガリバー旅行記 / Gulliver’s Travels
巨大化したジャック・ブラックが小人たちが暮らす中世風の“リリパット王国”に流れ着き、リリパットの人たちを変えていく映画『ガリバー旅行記』。
ジャック・ブラックらしい映画愛やロック愛に満ちた本作。
ただ、今の状況で観ると、いわゆる“アメリカの傲慢”的なものを感じないではない、かな。。。
せっかくのジャック・ブラックの製作総指揮・主演作なのだから、もっと突き抜けて欲しかった気もします。
彼は、現代を舞台にした方が合うのかもね。。。
<STORY>
ニューヨークの新聞社でメール係として働くガリバー。ある日、片思い中の旅行記者・ダーシーから、バミューダ・トライアングルの取材の仕事を受ける。しかし、船旅の途中で遭難。気付くと、小人たちが中世風に暮らす国・リリパット王国にいた。一度は囚人となったガリバーだが、体の大きさを活かして敵国の襲来を追い払い、将軍の地位に就くことに。しかし、彼に将軍の地位を奪われたエドワード副将軍が、彼を追い落とそうと画策し…。
<解説>
1726年にアイルランドのイギリス人作家、ジョナサン・スウィフトが記した著名な小説「ガリバー旅行記」を、現代人を主役にして映画化した本作。
ガリバーが小人たちに囲まれ、髪の毛や体をロープで縛られたりしている様子は、誰もが見たことがあるはず。
本作も、リリパット王国のシーンは、この風景から始まります。
ジャック・ブラック演じるガリバーは21世紀のニューヨークに暮らす現代人なので、Tシャツにカーゴパンツにコンバースのスニーカーという軽装ですが、リリパット王国の人々は中世風のドレスや軍服を身に着けています。
本作の見どころと言えば、リリパット王国の人々とガリバーの大きさの違いからくる感覚や、やり取りのズレが一番大きなものだと思うのですが、その次に大きいのが、リリパットの人々とガリバーの時代感覚のズレ。
リリパット王国の危機を救い一躍英雄となったガリバーは、リリパット王国に現代のニューヨーク文化をいろいろ持ち込むのです。
ニューヨークのタイムズスクエアを再現した街並みを作ってみたり、そこにアップルの広告や映画『アバター』の広告を模した『ガバター』の看板を作ってみたり。
自分の波乱万丈の人生(『スター・ウォーズ』や『タイタニック』のストーリーをパクったもの)を演劇化して劇場で演じさせたり、KISS風のメイクをした小人たちにロックを演奏させたり。
このあたりは、単純に考えれば面白くて見どころなシーンでもあるのですが、先住民の文化を尊重せず、自身の文化を最高のものとして、現地にもともと存在している文化を蹂躙していく“先進国”の態度そのものであるなあという気がするのです。
しかも、ガリバー(先進国)には圧倒的に体力があり、その体力をもってすればリリパットの人々(先住民)を踏みつぶしてしまうことなど、簡単なのですから。
たぶん、製作者側にはそんな政治的な意図はなく、「小人たちにロックやらせたら面白いんじゃね?」「小人たちが人力で動かすコーヒーメイカーとか、ステレオとか作ったら面白いんじゃね?」というようなノリで製作されたのではないかとは思いますが、後から考えると、なーんとなくモヤモヤするものがありました。
この『ガリバー旅行記』、鑑賞中は単純に楽しめ、鑑賞後は国際情勢についても考えさせられる…。
そう言った意味で、なかなか深い映画なのかもしれません。
『ガリバー旅行記』(85分/アメリカ/2010年)
原題:Gulliver’s Travels
公開:2011年4月15日
配給:20世紀フォックス映画
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
原作:ジョナサン・スウィフト
監督:ロブ・レターマン
出演:ジャック・ブラック/ジェイソン・シーゲル/エミリー・ブラント/T・J・ミラー/アマンダ・ピート//ビリー・コノリー/キャサリン・テイト/ジェームズ・コーデン/クリス・オダウド/ロマニー・マルコ/ニッキー・ハロップ
公式HP:http://movies.foxjapan.com/gulliver/
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