ファースト・ポジション夢に向かって踊れ！／ First Position

2012/11/6 外国映画は行, 映画レビュー

9歳から19歳までのバレエダンサーを対象とする世界最高峰のバレエ・コンクール「ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)」。
ボリショイバレエ出身のラリッサ・サヴェリエフ、ゲナディ・サヴェリエフによって1999年に創設され、「ローザンヌ国際バレエコンクール」と並び称されるこのコンクールには、世界の名門スクールへの奨学金や、バレエ団への入団を目指し、毎年5000人ものダンサーたちが世界各地の予選に参加するそうです。

映画『ファースト・ポジション夢に向かって踊れ！』では、このYAGPに挑む7人の少年少女たちの練習風景やコンクールの模様などに迫るドキュメンタリーです。

＜STORY＞
11歳のアメリカ人少年、アラン・ベルは父親の赴任地、イタリアでバレエ中心の生活を送っている。シエラレオネ出身の14歳の黒人少女、ミケーラは、アメリカ人夫婦のもとに養子に入り、偏見や怪我と戦いながらも、大好きなバレエに励んでいる。コロンビア出身の16歳の少年、ジョアンは両親と離れ、NYでただ一人、バレエレッスンを受けている。カメラはユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)に挑む7人の少年少女たちの努力の軌跡に迫る。

＜Cheeseの解説＞
極端にバレエダンサーの体を酷使し、その動きや形、演技で美を表現して行く芸術、バレエ。
このドキュメンタリーには、幼くして「バレエに生きる」ことを決意し、プロダンサーとしての門戸を開くため、毎日バレエのレッスンに励み、禁欲的な生活を送っている子どもたちが登場します。

彼らの背景は、それぞれ。
裕福な両親のもとに生まれ、金銭的にも精神的にも惜しみない援助を受けられる子どももいれば、内戦の行われるシエラレオネで生まれアメリカに養子に来ることで将来が拓けた少女や、プロのダンサーになるため貧しいコロンビアから一人アメリカにやって来た少年もいます。

背景は様々ですが、彼らは同様に、プロを目指して厳しい練習に励んでいます。
体のサイズは子どもでも、将来をしっかりと見据えて努力を続ける彼らのたたずまいは、既に大人のそれ。
これくらいの精神的な強さを持っていなければ、世界的なコンクールで勝ち抜くことなどできないのだろうと思わされます。
それだけに、彼らが時折見せる子どもらしい表情や、遊びに夢中になる様子、母親に叱られる様子などに、どこかホッとさせられたりも。

“選ばれし者”になるために幼い頃から人事を尽くす彼らの姿に、身を引き締められる思いを感じた、素敵なドキュメンタリーでした。

『ファースト・ポジション夢に向かって踊れ！』（94分／アメリカ／2011年）
原題：First Position
公開：2012年12月1日
配給：セテラ・インターナショナル、ミモザフィルム
劇場：Bunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開
監督：ベス・カーグマン
出演：アラン・ベル／ミケーラ・デ・プリンス／ジョアン・セバスチャン・ザモーラ／ミコ・フォーガティ／ジュールズ・ジャービス・フォーガティ
公式HP：http://www.firstposition-movie.com/

First Position [DVD] [Import]

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