【映画レビュー】ファースター 怒りの銃弾 / Faster
この映画『ファースター 怒りの銃弾』の主演俳優は、“ザ・ロック様”ことドウェイン・ジョンソン。
ロック様好きとして、喜び勇んでこの映画を観に行ったわけですが…。
いやー、ロック様、老けましたわね。。。
ロック様と言えば、鋼の用に鍛え上げた体と、シワひとつなくピーンと張った顔の皮膚…というイメージでしたが、本作のロック様はお顔にちょっとたるみも出てたり、お肌も毛穴が見えたりしています。
でも、逆にそのたるみもいい感じ!
ムショから出て来たばっかりの復讐に燃える男、という役柄にぴったりで、“男の苦悩”や、積み上げて来た“復讐への決意”にリアリティが増している感じです。
ロック様の他にも、ビリー・ボブ・ソーントン、オリヴァー・ジャクソン=コーエン、カーラ・グギノと言ったクセモノ俳優の揃った本作。
ハリウッド大作的な派手さはないけれど、重低音がハートに響く、男の美学たっぷりの一作です。
まあ、B級なんですけどね。。。
<STORY>
10年の刑期を終え、街に出て来たドライバー(運転手)。彼は刑務所を出ると、仲間に手配させていた車に乗り、あるオフィスを目指す。そしてオフィスに侵入した彼は、ある男に近付き、何も言わずに銃で額を打ち抜いた…。引退間近のあるコップ(刑事)とコンビを組んで事件を担当することになった女性刑事・シエロは、この事件の犯人だと思われる男の姿をスニッフ(殺人)ビデオの中で発見。そして、同じ犯人による第二の事件が起こり…。
<解説>
兄を殺し、自分をも殺そうとした犯罪チームに復讐を誓う男・ドライバー(運転手)。
ドライバーを追う、引退間近のコップ(刑事)。
ドライバーを殺せと、謎のクライアントから依頼されたキラー(殺し屋)。
この物語を展開させていくのは、この3人です。
3人とも、個性は様々。
ドウェイン・ジョンソン演じるドライバーは、鍛え上げられた肉体と銀のリボルバーひとつで、脇目もふらずに復讐のみに命を捧げようとしている無骨な男です。
そして、ビリー・ボブ・ソーントン演じるコップは、妻とも離婚し、くたびれ果てたような老刑事。
離婚した妻と暮らしている太っちょの息子と遊ぶことだけが楽しみな、淋しい男です。
ちょっと異色なのが、オリヴァー・ジャクソン=コーエン。
ムービースターのようなイケメンの彼は、天才的な頭脳を持ち、美しい恋人と湖畔の大邸宅で優雅な生活を送る男。
しかし、実はものすごい努力家で、生まれつきの足の障害(もしくは病気)を努力とリハビリで克服した経験を持つ「俺に出来ないことはない」というアメリカン・ドリームを信じている男。
若くしてIT企業を成功させ、それをバイアウトして巨額の富を得て、その後も様々なチャレンジを重ね、そのことごとくに成功して来ています。
そして、成功してはそれに飽き、刺激を求めて殺し屋になったという、変わった経歴の男なのです。
物語の構図としては、復讐のために殺人をしまくるドライバーを逮捕しようとコップが捜査を進めます。
そこに、ドライバーを殺そうとキラーが絡んでくる、という、単純と言えば単純な構図。
しかし、それを凝ったアングルや70年代風の重低音ロック、華麗なカーアクションや迫力の銃撃戦などで畳み掛けるように彩り、退屈させられることがありません。
何せ、映像と音楽がイカしています。
思わせぶりにカーラジオから聞こえてくる牧師の演説などの演出も、なかなか面白い。
出てくる女性たちも、ただのセクシーなかわい子ちゃんというわけでなく、『エンジェル ウォーズ』のカーラ・グギノに『96時間』のマギー・グレイスと言った、どこか骨太さを感じさせる、一筋縄ではいかない感じの女性。
言わば、のりこなすのに苦労しそうな、肉食系女性というところでしょうか。
追う者(コップ、キラー)と追われる者(ドライバー)、そしてドライバーの復讐のターゲットたちの物語が絡み合い、彼らのキャラクターがだんだんと変化して行く様子も、なかなか興味深いものです。
まあ、わかりやすいと言えばわかりやすいのですが、この手の映画では、そういう“わかりやすさ”の方が求められているハズ。
深い物語性などはありませんが、銃撃戦やカーアクション、ザ・ロックの見事な体や、クセモノ美女たちの姿を見て、スカッとできるこの映画。
決して都会のスカした映画館で観るような作品ではなく、肉体労働帰りに場末の映画館でビールを飲みながら、もしくは家のテレビでビールを飲みながら観るのにぴったりな作品なのです。
男クサーい男たちが繰り広げる男クサいこの映画、シチュエーションさえハマれば、かなり盛り上がる映画であることは間違いなしです。
うん、私は、けっこう好き。
女友だちにすすめるかと言われると、オシャレ系女子や文化映画系女子には、あんまりすすめませんが。。。
別コラム:オトコに見せたいこの映画『ファースター 怒りの銃弾』
『ファースター 怒りの銃弾』(98分/アメリカ/2010年)
原題:Faster
公開:2011年5月21日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:シネマスクエアとうきゅうほか全国にて
監督:ジョージ・ティルマン・ジュニア
出演:ドウェイン・ジョンソン/ビリー・ボブ・ソーントン/オリヴァー・ジャクソン=コーエン/カーラ・グギノ/マギー・グレイス/ムーン・ブラッドグッド/トム・ベレンジャー
公式HP:http://www.faster-movie.jp/
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