【映画レビュー】ジャーニー／ドント・ストップ・ビリーヴィン／ Don’t Stop Believin’: Everyman’s Journey

2013/2/20 外国映画さ行, 映画レビュー

実は私、この映画を観るまで、ジャーニーというバンドのことをよく知りませんでした。

もちろん、“Any Way You Want”、“Open Arms”、“Don’t Stop Believin”くらいの曲はiPodに入ってはいたけれど、“往年のバンド”というイメージで、あんまり今活動しているバンドというイメージがなかったのです。

でも、このドキュメンタリー映画『ジャーニー／ドント・ストップ・ビリーヴィン』を観て、そんな“往年のバンド”というイメージは覆されました。
ニール・ショーンを始めとするジャーニーのメンバーたちは、ジャーニーというバンドとその音楽を愛し、誇りを持っているんだなあと。。。
そして、かなりチャレンジングで、野心的で、大胆さを持ち合わせているのだなあと。。。

この作品は2007年に40歳でジャーニーの新ボーカリストとなったフィリピン人シンガー、アーネル・ピネダを中心に据えたドキュメンタリーではありますが、アーネルの姿と共に、ジャーニーの従来のメンバーたちの様々な発言も深く心に突き刺さる、そんな作品でした。

3月11日に日本に来てたのか。。。日本公演、行きたかったな。。。

STORY

1973年に結成された伝説のバンド、ジャーニー。2007年、ギタリストのニール・ショーンはジャーニーのボーカリストを務められる才能を探していた。そして、YouTubeでフィリピン人シンガー、アーネル・ピネダを見つける。その歌声に惚れ込んだメンバーはアーネルをジャーニーの一員として迎える。そこから、伝説的バンドの一員になるというアーネルのアメリカン・ドリームが始まる。そこには素晴らしい栄光と大きなプレッシャーがあった…。

解説

アーネル・ピネダはフィリピンのマニラで生まれ育ったフィリピン人のシンガーです。
ストリートチルドレンだったり、麻薬に溺れたり、様々な体験をして生きてきた人間でした。
ただ、どん底にありながらも歌を愛し、歌手として活動を続けていたのです。

それが、YouTubeにアップしていたライブ動画がニール・ショーンの目に留まったことにより、事態は一変します。

オーディションの末、アーネルはジャーニーの一員となり、彼らと一緒にツアーを回ることに。
しかし、最初は急に入ってきたフィリピン人シンガーに、世間の目は冷ややかでした。

「あんなやつにスティーヴ・ペリーの代わりがつとまるのか」
「ジャーニーはやっぱりアメリカ人じゃないと」
など、様々な批判にさらされます。

「僕だってジャーニーの大ファンなんだから、突然新しいボーカリスト入ってきたら、それは厳しい目で見るさ。それは当然だ。見た目も明らかに僕だけ違って、フォトショップで加工してるみたいだろ」

アーネルは、突然舞い込んだ幸運に浮かれることなく、そのような批判も冷静に受け止め、歌の実力と見事なパフォーマンスで跳ね返して行きます。
そして、新たなファンを獲得し、ジャーニーというバンドに新たな息吹を吹き込んだのです。

ジャーニーにとっても、フィリピン人のボーカリストを加入させるというのは、大きな賭けだったはずです。
でも、その賭けに見事に勝利し、再評価を得ました。
そして、フィリピンという大きなマーケットを新たに開拓したのです。

このドキュメンタリーを見ていて印象的だったのは、ジャーニーのメンバーたちが“成功には代償がある、大きな栄光を得たら、その分大きな代償を払わなくてはならない”と口にしていたこと。
アーネルは今、栄光だけを手にして、まだ代償を払っていない状態です。
ドキュメンタリーの中で彼は、今の栄光に浮かれないように、従来の自分を忘れないように、努力していることを語ります。

しかし、彼もいつかは代償を払う日が来るのでしょうか…。
ファンの一人として、アーネルの生き方をじっくりと見守っていきたいと思います。

別コラム

オトコに見せたいこの映画『ジャーニー／ドント・ストップ・ビリーヴィン』

作品情報

『ジャーニー／ドント・ストップ・ビリーヴィン』（105分／アメリカ／2012年）
原題：Don’t Stop Believin’: Everyman’s Journey
公開：2013年3月16日
配給：ファントム・フィルム
劇場：新宿ピカデリーほか全国にて順次公開
監督・製作・脚本：ラモーナ・S・ディアス
出演：アーネル・ピネダ／ニール・ショーン／ジョナサン・ケイン／ロス・ヴァロリー／ディーン・カストロノヴォ／キャサリン・ハイグル
公式HP：http://journey-movie.jp/