【映画レビュー】ちょんまげぷりん
関ジャニ∞の錦戸亮、映画初出演にして初主演の侍ハートウォーミング・コメディ映画『ちょんまげぷりん』。
江戸時代から現代の日本にタイムスリップしてきたお侍さんが、シングルマザー&ちびっこの家庭に居候し、現代のジェンダー意識にギャップを感じたり、父親っぽい意識に目覚めたり、お菓子作りに目覚めてパティシエになっちゃったりする物語です。
いや、なんというかね、面白いのですけどね、なんとも詰め込み過ぎと言うか、情報量が膨大すぎる気がする物語です。
なんか、いろいろ言いたいことがありすぎて、逆にどれもちゃんと言えてない、みたいな。
いや、でもまあ、面白かったです。
錦戸くんの侍姿、なかなか絵になっていたと思います。
個人的には、いつも通っている自由が丘駅南口や、アンドウ薬局が映っていたのがちょっとツボ。
STORY
息子・友也と二人暮らしのシングルマザー・ひろ子。ある日、マンションの敷地内で侍の恰好をした不思議な男と出会う。直参・木島安兵衛と名乗るその男には行くあてがなく、ひろ子の家に居候することになる。IT企業で働いているひろ子の代わりに安兵衛は家事・育児を担当することに。ある日、熱を出した友也のために、安兵衛はプリンを作る。そのプリン作りをきっかけに、安兵衛はお菓子作りに目覚め、プロ級の腕前に上達していく…。
解説
この作品の監督は『ゴールデンスランバー』、『アヒルと鴨のコインロッカー』などを手掛けた中村義洋。
ちょっとコミカルで、ちょっとハートウォーミングで、どこかシニカルで…、というイメージがあるのですが、今作もそういう感じ。
クスッと笑えて、ちょっと泣けて、でも「オイオイ!」って突っ込みたくなるような、そんな作品です。
この作品の見所といえば、やっぱり“錦戸亮の侍姿”でしょうか。
きっちり背筋を伸ばした侍が、ごく普通のマンションの床に正座している、その佇まいだけでも、なんだか笑えます。
でも、もったいないなぁと思うのが、詰め込み過ぎで説明不足な点が多いところ。
冒頭にも書きましたが、盛込み過ぎでひとつひとつのエピソードがじゃっかん薄くなっちゃってるのです。
例えば「なぜ安兵衛がお菓子作りに目覚めたのか」。
これ、けっこう重要な点だと思うのですが、映画の中では説明がない。
プリンを初めて食べた安兵衛が「こ、これは…」とあまりの美味しさにびっくりするシーンがあるのですが、次にはもうプリンを上手に手作りしちゃってる。
そして、ケーキを食べているシーンなどはあまりないのに、いきなりめちゃくちゃ上手にスポンジを焼いてデコレーションまでこなしちゃっているのです。
だから、なぜ安兵衛がパティシエになろうと思ったのか、とか、ケーキ作りに対する想いがあまり伝わってこないのですよねぇ。。。
同じように、安兵衛とひろ子の恋愛とか、安兵衛と友也の疑似親子エピソードなども、あまり残るようで残らないのでした。
そのあたりが、なんだかもったいない気がします。
でも実は、映画の最後にNG集的なカットがたくさん収録されているのですが、実はこの中に、本編中では見かけなかったシーンがたくさんありました。
「ああ、こんなにたくさんいろいろなシーンを撮影してたんだなぁ。本来のシナリオでは、説明不足とかはなかったんだろうなぁ。尺を短くするために、いろいろ切らざるを得なかったのね…。このNG集は、監督のせめてもの抵抗なのね、きっと…」
NG集を観ながら、ついついそんな風に思ってしまったり。
これから映画をご覧になる方には、ぜひともNG集は見逃さないようにしていただきたいと思います。
作品情報
『ちょんまげぷりん』(108分/日本/2010年)
公開:2010年7月31日
配給:ジェイ・ストーム
劇場:恵比寿ガーデンシネマほか全国にて
監督・脚本:中村義洋
原作:荒木源
出演:錦戸亮/ともさかりえ/今野浩喜/佐藤仁美/鈴木福/忽那汐里/堀部圭亮/中村有志/井上順
公式HP:http://www.c-purin.jp
原作HP:http://www.shogakukan.co.jp/chonpuri/
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