白夜行

白夜行 [Blu-ray]

東野圭吾好きの友人から薦められてちょっとハマってしまい、小説ドラマとチェックしてきた「白夜行」が映画になりました。
この「白夜行」、もともとがベストセラー小説ですし、ドラマ化もされていて、ストーリーをご存じの方も多いでしょう。
とはいえ、ネタばれはしない方向でレビューを書きたいのですが、けっこう難しい。。。

この映画『白夜行』、小説やドラマにはなかった要素が追加され、どこか救いを感じられるエモーショナルなストーリーになっています。

亮司を演じる高良健吾の佇まいが、もう、切ない。
そしてその子役時代を演じる今井悠貴が、川であるものを洗うシーンなんて…。泣きそうです。

1976年生まれの若手監督・深川栄洋は、堀北真希演じる雪穂ではなく、幼い時から孤独を余儀なくされて育ってきた亮司にスポットを当て、いびつになってしまった“父性愛”を描き出しました。

ドラマでは武田鉄矢が演じていた刑事の笹垣、ちょっと嫌なイメージだったんだけど、船越英一郎が演じている映画版では、いい人だったなぁ。

<STORY>
昭和55年、質屋の店主が廃ビルの中で殺された。被害者は西本文代という女性の家を訪ねた後、死体で発見されたのだ。刑事の笹垣は被害者の10歳の息子・亮司と会い、彼の表情の暗さに驚く。西本文代にも、雪穂という10歳の娘がいた。捜査が進むうち、西本文代がガス自殺し、被疑者死亡として操作は終了する。そして数年後、雪穂は縁戚に引き取られ、美しい女子高生となっていた。ある日、雪穂の同級生が暴行を受けるという事件が起こる。

<Cheeseの解説>
ある殺人事件の容疑者の娘・雪穂と、被害者の息子・亮司の19年間を描くこのドラマ。

美しいけれど、氷のように冷たく何を考えているのかわからない雪穂を演じるのは堀北真希。
そして、世を拗ねたような鋭い目で、関わる人間を愛しつつも傷つけてしまう亮司を高良健吾が演じています。

ストーリーをひっぱっていくのは雪穂ですが、物語に深みと感動を与えているのは、亮司と、船越栄一郎演じる刑事・笹垣です。

子ども時代の亮司と雪穂の周囲には、ロクな大人がいませんでした。
その彼らが初めてあった信頼できる大人と、あんな形でしか出会うことができなかったというのは、悲劇としか言うしかありません。。。

この映画は、昭和55年から平成10年までの19年間を描いています。
西暦でいうと1980年から1999年。20世紀最後の時代です。

驚くのは、セットや街並みなどが、正確にその時代の風景を写し取っているところ。

幼い頃の雪穂が暮らすスラムのような街並みや、亮司が暮らす質屋の間取り。
女子高生に成長した雪穂の友人の聖子ちゃんカット。
成長した亮司が恋人と暮らすアパートの家電やキッチンのつくり。

すべてが「ああ、あったね、ああいうの」とストーリーの展開とは別に、懐かしい思いを湧き起こさせました。

雪穂や亮司と同世代である、1976年生まれだという深川栄洋監督は、自分の育ってきた時代を思い出しながら、セットや小道具を見ていたのかもしれません。

『白夜行』(149分/日本/2011年)
公開:2011年1月29日
配給:ギャガ
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
原作:東野圭吾
監督:深川栄洋
出演:堀北真希高良健吾船越英一郎戸田恵子田中哲司姜暢雄緑友利恵山下容莉枝今井悠貴/福本史織
公式HP:http://byakuyako.gaga.ne.jp/

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