【映画レビュー】ANNIE アニー / ANNIE
日本でも上演され、人気のブロードウェイ・ミュージカル「アニー」。
ハロルド・グレイの原作「Little Orphan Annie」を原作とするこのミュージカルは、1977年の初演から何度も上演され、国を超えて人気を得ています。
この人気ミュージカルを、現代風にアレンジして映画化したのが本作『ANNIE アニー』です。
主人公の少女・アニーの持つ明るい魅力はそのままに、時代に則したストーリーと新しくアレンジされた音楽で、また新たな魅力を獲得しています。
舞台をNYとしたこの作品、生粋のニューヨーカーであるウィル・グラックが監督を務めるだけあって、実際の街中でも撮影が行われており、ダイナミックなNYの雰囲気もたっぷり。
さらに、映画『ステイ・フレンズ』やTVシリーズ「マイケル・J・フォックス・ショウ」などの監督を務めたウィル・グラック監督人脈と思われる、豪華なカメオ出演も見逃せません!
STORY
10歳の孤児であるアニーは、車にひかれそうになったところを、携帯電話会社CEOのスタックスに助けられる。NY市長選に立候補しているスタックスは、好感度アップを狙い、孤児のアニーを引き取って一緒に暮らし始める。大富豪のスタックスの豪華なペントハウスでの生活に、アニーは大興奮。スタックスの側近のグレースも喜んでアニーの世話をするが、スタックスは子どもが大の苦手だった。しかし、アニーのおかげで支持率はうなぎのぼりとなり…。
解説
アニーと言えば、くるくるの赤毛の巻き毛、可愛い赤いワンピースを着ているというイメージがあります。
でも、今回のアニーはひと味違います。
アニーを演じるのは、黒人のクヮヴェンジャネ・ウォレス。
現代風のタイトでスリム、でもジャンク・コレクターのようにお気に入りのものをジャケットに縫い付けた、自分らしさを表現できるファッションをしています。
演技や歌い方も“いかにも子役”と言ったいかにもなミュージカル風ではなく、うますぎない歌を話すように歌う、ナチュラルながらも彼女の秘めた感情が伝わってくるストレートな演技を見せてくれます。
そして、アニーと心を通わせる大富豪のスタックス氏も、黒人のジェイミー・フォックスが演じています。
クールさなイメージのあるジェイミー・フォックスですが、本作ではどこかコミカルで、愛すべきダメ男な感じを見せてくれているのです。
このスタックス氏は、携帯電話会社を興し、一代で大富豪に成り上がった人物。
NYを見下ろすペントハウスで、一人豪華に暮らしています。
彼の家はスマートハウスで、声紋を認識させておけば、しゃべっただけで家が色々な願いを叶えてくれます。
孤児のアニーにとっては、まさに夢のような家なのです。
スタックス氏の家に来る前にアニーが暮らしていたのは、キャメロン・ディアス演じるミス・ハニガンの家。
ミス・ハニガンは元歌手で、売れなくなった今も過去の栄光を糧に、4人の少女たちの里親として補助金目当てで育てているのです。
アニーは、ハニガン家を出て、スタックス氏の家で暮らし始めます。
ローズ・バーン演じるスタックスの右腕・グレースとガールズトークを楽しみ、スマートハウスで夢のような生活をし、ペットの犬も飼い始めます。
しかし、みなしごのアニーはなかなか“自分の居場所”を実感できず、大きなベッドではなく、これまで寝ていた二段ベッドを思い出させるテーブルの下で寝ていたりするのです。
実は、“自分の居場所”を実感できないのは、スタックス氏も、グレースも、ミス・ハニガンも一緒。
スタックス氏は、「世界は自分のもの」とばかりにビジネスで成功を収めても人を寄せ付けない潔癖性の面があります。
グレースは、ビジネスではスタックスのパートナーとして成功していても、プライベートではパートナーのいない毎日。
ミス・ハニガンは、過去の栄光にすがり、「本当のアタシはこんなところにいる人間じゃない」と、現在の自分を肯定できずにいるのです。
そんな「自分とはいったい何なのか」と模索している大人たちを、一歩踏み出す「機会」を得たアニーが変えていくのです。
このミュージカル映画『ANNIE アニー』、「Tomorrow」を始めとするおなじみのミュージカルナンバーが満載です。
NYに響く様々な街の音をメロディラインに取り入れたり、掃除道具の奏でるビートの効いた演出も楽しい!
さらに、「The City’s Yours」、「Opportunity」、「Who am I ?」と言った新曲も加わり、これまでのアニーの世界を、より現代の迷える大人たちにも楽しめるものとしています。
大人も楽しめる2014年バージョンの映画『ANNIE アニー』、ミュージカルを観たことのある人も、初めて観る人も、きっと楽しめる一作です。
作品情報
『ANNIE アニー』(118分/アメリカ/2014年)
原題:ANNIE
公開:2015年1月24日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:TOHOシネマズ 日劇ほか全国にて
原作:トーマス・ミーハン/ハロルド・グレイ
製作・監督・脚色:ウィル・グラック
製作:ウィル・スミス/ジェイダ・ピンケット=スミス/ケイレブ・ピンケット/タイラン・スミス/ショーン・“ジェイ・Z”・カーター
脚色:アライン・ブロッシュ・マッケンナ
音楽:グレッグ・クスティン
出演:ジェイミー・フォックス/クヮヴェンジャネ・ウォレス/ローズ・バーン/ボビー・カナヴェイル/アドウェール・アキノエ=アグバエ/デヴィッド・ザヤス/キャメロン・ディアス/ブラッド・ボン/ベス・ロウ/ゾー・マーガレット・コレッティ/ニコレット・ピエリーニ/トレイシー・トムズ/ドリアン・ミシック/ピーター・ヴァン・ワグナー/イーデン・ダンカン・スミス/アマンダ・トロイヤ/ミラ・クニス
Official Website:http://www.annie-movie.jp/
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