【映画レビュー】暗黒女子
「人肉を食べる役」への嫌悪を語り、芸能界引退を表明した女優・清水富美加。
そんな彼女の主演作として、一時は公開が危ぶまれたこともある映画『暗黒女子』。
無事公開されることとなり、ほっとしたわけですが、この作品を観た後、彼女が語った冒頭の言葉を思い出しました。
なるほど、食べたり食べさせたり、どちらにしろ、女優の仕事というのはなんとも精神的に負担が大きそうですね。。。
<STORY>
聖母マリア女子高等学院・文学サークルの、定例闇鍋朗読会が始まった。暗闇の中で闇鍋を食べながら、メンバーたちが書いた小説を発表する恒例の会だ。今回のテーマは“白石いつみの死”。学院の経営者の娘でこのサークルの創設者であるいつみは、校舎の屋上から落下し、謎の死を遂げていた。三年生の澄川小百合が司会を務めるなか、二谷美礼、小南あかね、ディアナ・デチェヴァ、高岡志夜らメンバーが自作の小説を発表していく。
<解説>
この映画の舞台は、深窓の令嬢ばかりが通う、聖母マリア女子高等学院。
その中でも特別な憧れの存在でもある学園経営者の娘・白石いつみの死の謎が、この映画の大きなテーマとなっています。
しかし哀しいことに、登場人物の誰一人として、深窓の令嬢に見えないのですよね。。。
お嬢様どころか、育ちが良さそうにも、頭が良さそうにも見えません。
これは、深窓の令嬢を演じられる日本の若い女優がいないのか、監督や製作者たちが、深窓の令嬢を表現することに注力していないのか…。
どちらにせよ、物足りなさを感じてしまいました。
言ってみれば、細部に神が宿っていないのです。
まあ、この作品の原作は、いわゆる“イヤミス”として知られるミステリー小説。
本格派ミステリー小説というわけではなく、「読後にイヤな気持ちになってしまう」ことで注目されているミステリーです。
つまり、ストーリー自体も、構成の妙やストーリーの説得力というよりも、オチの意外性のみに力点が置かれている作品ということです。
だから、その作品を映画化した本作も、映画としての真実味より、小手先のテクニックで観客を驚かすことのみに注力していたとしても、しょうがないのかもしれません。
でも、そんな小手先の作品に関わることで、才能ある女優の心が摩耗してしまい、心が折れるまでの時間が早まってしまったのだとしたら、それはとても哀しいことだと思います。
『暗黒女子』(105分/日本/2017年)
公開:2017年4月1日
配給:東映、ショウゲート
劇場:全国にて
原作:秋吉理香子
監督:耶雲哉治
脚本:岡田麿里
出演:清水富美加/飯豊まりえ/清野菜名/玉城ティナ/小島梨里杏/平祐奈/千葉雄大/升毅
Official Website:http://ankoku-movie.jp/
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