【映画レビュー】21ブリッジ / 21 Bridges
舞台は夜のニューヨーク・マンハッタン。
5時間以内に強盗殺人犯二人組を逮捕するため、マンハッタン島を封鎖して夜の街を走る刑事……。
こんなログラインを聞くだけで、きっと面白いに違いないと思える映画『21ブリッジ』。
しかも、「ゲーム・オブ・スローズ」シリーズのブライアン・カークが監督を務め、「キャプテン・アメリカ」シリーズのアンソニー&ジョー・ルッソが製作を、『ブラック・パンサー』のチャドウィック・ボーズマンが製作・主演を務めるとなれば、面白くないはずがありません。
刑事モノと言えば、個性の際立つ名作の多い映画ジャンルですが、この作品もその系譜の中に入るのではないでしょうか。
<STORY>
NY市警の刑事アンドレ・デイビスは、深夜にブルックリンで8人の警官が殺害された強盗殺人事件の担当となる。300キロの麻薬が置かれていたレストランに二人組の強盗が侵入したところに警官隊が突入。警官たちは射殺され、強盗たちはは50キロの麻薬を持って逃走したというのだ。マンハッタンに逃げた強盗を捕まえるため、アンドレはマンハッタン島の封鎖を決断。マンハッタンにかかる21の橋や列車などを、朝5時まで封鎖する許可を取り付ける……。
<解説>
ある刑事の葬儀のシーンから始まるこの『21ブリッジ』。
幼い少年・アンドレは、刑事だった父が犯人に撃たれて殉職したことに涙を流しながら、「良心に従うこと。善悪の判断を他人に左右されないこと。この残酷な世界で、正しい道を歩むことを」という神父の言葉を胸に刻みます。
そして19年後、刑事となったアンドレ(チャドウィック・ボーズマン)は、“自らの正義”を信じ、悪人である犯人を射殺したことから、NYPDで問題視されることとなります。
しかし彼は悪びれず、「正しいことをした」と、その信念を貫く姿を見せていました。
そんな彼がNYPD85分署のマッケナ署長(J・K・シモンズ)から担当として指名されたのが、ブルックリンにあるレストランから30キロの麻薬が強奪され、8人の警官たちが殺害されたという事件。午前0時13分にその事件は発生し、アンドレはすぐに臨場しました。
麻薬課のバーンズ刑事(シエナ・ミラー)とタッグを組んで、その捜査にあたることに。
犯人たちがマンハッタン島に逃げ込んだという情報を得た彼は、FBIや市当局の許可を取り付け、朝5時までマンハッタン島へ続く21の橋を封鎖し、川やトンネル、列車などを止め、マンハッタン島を封鎖したのです。
二人組の犯人を追い詰めるため、マンハッタンに警官たちを大量投入し、犯人たちを捉えようとするのですが、ある警官が犯人に発砲し、彼らにも逃げられてしまいます……。
この作品のテーマとも言えるのは、“自らの正義”。
二人組の犯人たちはなぜ強盗を犯し、なぜ警官を殺したのか?
なぜアンドレは以前に犯人を射殺したのか?
なぜアンドレがこの事件の担当を任されたのか?
それは全て、登場人物たちが“自らの正義”によって下した決断だったり、選択だったりするのです。
しかし、自分にとって正義であることも、他者にとっては歪んだ正義であることも、よくあることなのですが……。
二人組の犯人たちの一人、マイケル(ステファン・ジェームス)は、劇中でアンドレ(チャドウィック・ボーズマン)と対決します。
均整のとれた体つきの若い黒人男性である二人は、まるで鏡に映った分身のよう。
ある意味、立場がいつ入れ替わってもおかしくないと思わされます。
自らの正義、それ次第で追う者と追われる者は簡単に入れ替わる……。
深夜のマンハッタンを舞台にした本作は、そんなことを感じさせてくれる熱い映画でした。
『21ブリッジ』(99分/中国=アメリカ/2019年)
原題:21 Bridges
公開:2021年4月9日
配給:ショウゲート
劇場:全国にて
監督:ブライアン・カーク
製作:アンソニー&ジョー・ルッソ
脚本:アダム・マービス
音楽:ヘンリー・ジャックマン/アレックス・ベルチャー
製作・出演:チャドウィック・ボーズマン
出演:シエナ・ミラー/テイラー・キッチュ/J・K・シモンズ/アレクサンダー・シディグ/クリスチャン・アイザイア/ステファン・ジェームス/キース・デヴィッド/ルイス・キャンセルミ/ヴィクトリア・カルタヘナ/ゲイリー・カー/モロッコ・オマリ/デイル・パヴィンスキー/エイドリアン・レノックス/サラ・エレン・スティーヴンス/ジェイミー・ニューマン/オビー・アビリー/アンディ・トルシンスキ/ダーレン・リーパリ
Official Website:http://www.21bridges.jp/
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2019-12-04T00:00:01Z)
¥40,694
¥5,800
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2018-07-04T00:00:01Z)
¥4,800