【本】プロスペクトパーク・ウエスト / エイミー・ソーン
あのサラ・ジェシカ・パーカーが映像化権を獲得したということでも話題の海外小説「プロスペクトパーク・ウエスト」(著:エイミー・ソーン)を読みました。
ニューヨークのブルックリンに暮らす、スノッブな4人のママたちの物語。
世代が近いせいもあり、かなりリアリティを持って読むことができました。
うーん、こういう世界って、実際にありそう。。。
結婚してママになって、オシャレな地域に住んで…という、独身女性からみればかなり「上がった」ポジションのママたちですが、やっぱりどういう立場になっても、悩みや葛藤はあるんですねぇ。。。
<STORY>
再開発がすすみ、ファッショナブルでありながらファミリーで暮らすのにほどよい、ブルックリンのプロスペクトパーク・ウエスト地区。そこにある高級アパートメントで暮らすレベッカは、公園で黒人の息子を連れた白人女性・リジーと友だちになる。レベッカの暮らすアパートメントを購入しようとしているカレンは、プロスペクトパークの高級住宅に暮らすハリウッド女優、メローラに憧れていた。そして、偶然メローラの家に入る機会を得たカレンは、メローラのベッドルームで彼女の秘密を知る…。
<感想>
この物語には、4人のママたちが登場します。
夫の稼ぎもよく、ライターとしてファッショナブルに暮らしているが、子どもを産んで以来、セックスレスになったことを悩んでいるレベッカ。
子役出身で二度もアカデミー賞を受賞したハリウッド女優だが、多少落ち目になっていることを気にやみ、薬物依存になりかけているメローラ。
黒人ミュージシャンの夫と結婚し、人種の違う息子を育てることに多少引け目を感じている、元レズビアンのリジー。
予算を超えているにもかかわらず、憧れのアパートメントを購入し、息子を第321小学校に入学させようとやっきになっている過保護ママのカレン。
独身の私から見れば、充分うらやましい暮らしをしている彼女たちですが、彼女たちにも様々な悩みやトラブルがあるよう。
例えば、レベッカは、セックスレスで夫とのスキンシップに飢えています。
そして、生協の奉仕活動で知り合ったハリウッド俳優のスチュアート・アシュビー(メローラの夫)と恋に落ち、不倫を始めてしまいます。
リジーは、夫である黒人ミュージシャンのジェイが、ツアーやライブで家を留守にしがちなことに淋しい思いを抱いています。
そして、息子のマンスが自分と違う肌の色であることに違和感を抱き、夫の母親ともうまく接することができません。
もともと彼女はレズビアンで女性と同棲していたのですが、レベッカと友人になったことがきっかけで、また女性を意識するようになっていきます。
メローラは、自分よりキャリアの低い俳優の夫、スチュアート・アシュビーと養子のオライオンと、豪邸で暮らしていますが、ことあるごとに薬物やアルコールに依存しそうになります。
そして、ついスリルを求めて、ある男性の財布を盗んでしまいます。
最初はそのスリルから来る高揚感で有頂天になっていた彼女ですが、やがてその行為が世間にばれるのではないかという不安から、薬とワインを一緒に飲んでしまい、大変なめにあうのです。
カレンは、セレブな暮らしに憧れ、自分たちの予算以上のアパートメントを購入しようとしています。
メローラ・レイに憧れ、彼女の近くに住みたいと思っていた彼女は、メローラの息子・オライオンのベビーシッターに近付き、メローラの家に入り込みます。
そしてメローラの秘密を握り、彼女と友達になろうとするのですが…。
一見幸せに暮らしていそうな彼女たちですが、みんな様々な悩みや葛藤を抱えています。
その悩みを解消しようとする行動が、それぞれにまた自分勝手。
私も含めてですが、現代に生きる女性たちは、“妻”や“母”という立場よりも、“自分”であることが第一だと考えて生きてきた人が多いのでしょう。
そんな彼女たちが自分勝手に行動し、自分勝手に問題を解決しようとし、よけいに悩みを深めていく様子は、他人事とは思えませんでした。。。
それにしてもこの作品、主人公の一人・メローラがハリウッド女優という設定もあって、ハリウッドのセレブたちが多く実名で登場しています。
メローラがマギー・ギレンホールに役を奪われるとわめいたり、ケイト・ハドソンとケンカをしたりという描写も。
これは名前を使う許諾をちゃんと取っているのか…、そのあたりも気になります。
実際のハリウッド俳優が登場したり、ニューヨークの最新スポットが登場したりするこの小説、セレブ好きだったり「セックス・アンド・ザ・シティ」のような世界が好きな人には楽しめる作品だと思います。
まあ、読者を選ぶ作品だとは思うので、男性やお固い女性なんかが読むと、腹を立てたりするかもしれませんが。。。
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