【映画レビュー】天使の処刑人 バイオレット&デイジー / Violet & Daisy
映画『ハンナ』でも暗殺者役を演じていたシアーシャ・ローナン。
このシアーシャたんが再び暗殺者役を演じているのが、この映画『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』です。
でも、今回の暗殺者は『ハンナ』とは大違い。
人里離れた荒野で父親に暗殺術をたたきこまれていたハンナたんと違い、今回演じているデイジーたんは、暗殺者としてはほとんど無能。パートナーのバイオレットにすべてお任せの、無邪気過ぎる女の子です。
でもまあ、どうせ殺されるなら、こういうキュートで清らかな天使のような少女たちに殺されたいっていうのは、ある意味男のファンタジーなのかもしれません。
<STORY>
キュートな少女たち、バイオレットとデイジーは、依頼を受けてターゲットを殺す“殺し屋”だ。ホットな新作ドレスを買うため彼女たちは新しい依頼を受けることに。ターゲットの帰りを待って殺害しようと彼のアパートメントに忍び込んだバイオレットとデイジーは、そこで眠り込んでしまう。目が覚めた時、ターゲットは彼女たちに毛布をかけてくれていた。彼と話をするうち、二人はなぜ彼が殺されることになったのかに興味を抱き始める…。
<解説>
映画『プレシャス』の脚本家だったジェフリー・フレッチャーの初監督作である映画『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』。
尼僧姿のキュートな二人の女の子たちが悪党のアジトに入り込み、2丁拳銃をぶっぱなして屈強な男たちを殺しまくるシーンから始まります。
ある意味、ジェフリー・フレッチャーはこのシーンが撮りたいがためにこの作品をとったのではないかと思ってしまうような、絵になるシーンです。
そんなフォトジェニックな冒頭シーンから観客を魅了する本作は、シアーシャ・ローナンとアレクシス・ブレデル演じるバイオレットとデイジーという二人の美少女殺し屋と、ジェームズ・ガンドルフィーニ演じる“殺されるはずだった”男の救済の物語です。
バイオレット&デイジーという殺し屋は、自分たちのアイドルのブランドの新作ドレスを買うために暗殺を請け負う女の子。
ダニー・トレホ演じるいかついボス・ラスとも“せっせっせ”なんてしたりして、まるで“殺し屋ごっこ”をしているよう。
おままごとのような雰囲気で、本気でターゲットを殺す気があるのかもわかりません。
ターゲットを殺すかわりに、ターゲットを殺しに来た別組織の殺し屋たちを殺したり、その殺し屋たちの死体の上で“内出血ダンス”を踊ったりシャワーを浴びたり、まさにファンタジーの世界。
殺されるはずのジェームズ・ガンドルフィーニも、自分の娘のようなデイジーたちに殺されることを望んでいるよう。
ターゲットに安らかな死を与える彼女たちは、まさに“死の天使”とも言える存在と言えるでしょう。
そんな“死の天使”の一人、シアーシャ・ローナン演じるデイジーは、まさに無垢の象徴のような女の子。
そして、バイオレットは、ある意味デイジーを現実から守り、“天使”のままでいさせるために自分が困難を引き受ける、守護者でもあると言えるでしょう。
ロリポップ・キャンディをなめるキュートなエンジェルたちに癒されたい方にはオススメの、映像マジックと雰囲気たっぷりな作品です。
『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』(88分/アメリカ/2011年)
原題:Violet & Daisy
公開:2013年10月12日
配給:コムストック・グループ
劇場:新宿シネマカリテほか全国にて
監督・脚本:ジェフリー・フレッチャー
出演:シアーシャ・ローナン/アレクシス・ブレデル/ジェームズ・ガンドルフィーニ/ダニー・トレホ/マリアンヌ・ジャン=バプティスト/タチアナ・マズラニー/コディ・ホーン/キャシディ・ヒンクル
公式HP:http://www.angel-vd.com/
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