【映画レビュー】マイレージ、マイライフ / Up in the Air
『JUNO/ジュノ』のジェイソン・ライトマン監督の新作は、独身主義者のリストラ宣告人中年男性を主人公にした映画『マイレージ、マイライフ』。
リストラ宣告人が主役なんて、世の中本当に不況ですなぁ。。。
こういう不況時、帰るべきところって、…結局そこなの?
<STORY>
ライアン、リストラ宣告を請け負う会社に勤務している。年間322日も出張し、航空会社のマイレージを1000万マイル貯めることを目標に生きていた。ガールフレンドは、彼と同じくアメリカを飛び回っている女性・アレックス。出張先のホテルで気軽な逢瀬を重ねていた。しかしある日、新入社員のナタリーがテレビ電話を使うリストラ宣告を提案。ライアンはナタリーに仕事の実態を教えるため、出張に一緒に連れて行くことにする。
<解説>
うーん、この作品はその人の立ち位置によって、かなり感じ方が違って来そうな作品です。
で、ここから先、ネタバレ防止のため、映画を観ていないとワケのわからない供述になっていますので、お許しください。
ひとまず私の立ち位置を説明しておくと、独身、一人暮らし、(会社を昨年退職し)フリーランスという不安定な立場にいます。
まあ、それに対して不満を抱いているということはありません。
不安を感じることはありますが。
こういう立ち位置にいる私から見ると、監督の言わんとしていると思われるテーマに関しては、なんとなく納得がいかないんですよね。。。
職やプライド、そういったものをすべて失った時、最後に待っていてくれるところって、結局そこだけなんでしょうか?
みんなもっと他のものも持っていると思うんだけどなぁ。
それは選択肢のひとつであって、絶対的なものではないはず。
まあ、これで私が結婚していて子どもも二人いたりするならば、この映画を観て「うんうん、そうよね!!」と、完全同意しているのかもしれません。
なんだかなぁ…、日本よりももっと家族の在り方が多様化しているであろうアメリカで、こういう映画が評価されているということが、なんだか驚きです。
そして、32歳の若き映画監督、ジェイソン・ライトマンがこういう作品を撮ったということも。
多様化が進み過ぎて、揺り戻しなのかもしれません。
逆に、年齢の行ったベテラン監督だと、こんなに素直な作品は撮れないのかもしれないなぁ。
あ、いろいろ書いていますが、内容自体は普通に面白いです。
リストラ宣告人を演じるジョージ・クルーニーの出張美学も為になるし、優秀でありながら頭でっかちで恋愛ベタの新入社員・ナタリーのキャラなどもとっても可愛らしい。
永遠のわがまま少年、ジョージ・クルーニーに訪れる皮肉な結末も、それはそうだろうと納得できますし。
ただ、エンドロールと最後の歌がね…、ちょっと鼻についたというか、やり過ぎというか、そんな気がしちゃったんです。
ええ、負け犬の遠吠え(死語?)と言われれば、それもごもっともだと思います。
さらに言うと、リストラされるどころか就職すらもままならず、年収の低さもネックになり家族をつくることもできないというロスジェネ世代には、ちょっとツラい映画だなあと思ってしまったんですよね。
幸せな家庭で、家族と共に仲良く暮らしている方には、きっと感動できる映画なのでしょう。
リトマス試験紙的に、一度観てみるといいかもしれません。
最後に、個人的なツボをひとつ…。
ジョージ・クルーニーの妹役を演じている女優さんが、ピーター・ジャクソン監督の『乙女の祈り』でポーリーンを演じていたメラニー・リンスキーでした。
他の作品にもけっこう出てるみたいだけど、初めて気付きました。
やっぱり脇役キャラなんですね。。。
『マイレージ、マイライフ』(109分/アメリカ/2009年)
原題:Up in the Air
公開:2010年3月20日
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
劇場:TOHOシネマズシャンテほか全国にて
製作・監督・脚本:ジェイソン・ライトマン
出演:ジョージ・クルーニー/ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック/ジェイソン・ベイトマン/メラニー・リンスキー
公式HP:http://www.mile-life.jp/
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2012-03-09T00:00:01Z)
¥980
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2012-03-09T00:00:01Z)
¥317
ワーナーミュージック・ジャパン (2010-03-09T15:00:00.000Z)
¥980
小学館 (2010-01-08T00:00:01Z)
¥92