【映画レビュー】男はつらいよ お帰り 寅さん
シリーズ第1作の『男はつらいよ』が公開されたのが1969年。2020年はその記念すべき年から50周年に当たります。
その記念すべき50周年に公開されたのが、本作『男はつらいよ お帰り 寅さん』。
22年ぶりに寅さんがスクリーンに登場し、なつかしい登場人物たちとともに寅さんの思い出を振り返ることができます。
STORY
車寅次郎の甥・諏訪満男も40代になった。7年前に妻を亡くし、今は高校生の娘・ユリと二人暮らし。サラリーマンを辞めて小説家となっている。ある日、サイン会の会場に、初恋の相手・及川泉が現れた。海外にわたった泉は国際結婚しており、しばらく日本に帰ってきていたのだ。満男は泉と共にリリーさんの経営するジャズ喫茶を訪ね、柴又の実家で両親と泉と夕食を囲む。そんな中で思い出すのは、懐かしい伯父、寅次郎のことだった…。
解説
1969年から始まり1995年まで毎年製作が続けられていた映画「男はつらいよ」シリーズ。
葛飾柴又生まれの“フーテンの寅”こと車寅次郎(渥美清)と彼の実家に暮らすおいちゃん、おばちゃん、そして妹のさくら(倍賞千恵子)との交流や、作品ごとに代わるマドンナたちと寅さんの淡い恋が描かれる、国民的人気シリーズでした。
1996年に渥美清さんが亡くなったことから、シリーズ49作の『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別編』(1997年)がシリーズ最終作となっていました。
しかし、この2019年、シリーズ50作目の『男はつらいよ お帰り 寅さん』が公開されたのです。
本作の主人公となるのは、さくらの息子で寅さんの甥である光男。旧作に引き続き、吉岡秀隆が演じています。
そして今作のマドンナは、光男の初恋の女性である及川泉。この泉も、旧作に出演している後藤久美子が演じています。
後藤久美子といえば、ジャン・アレジと結婚して海外に渡り、女優としてはほぼ引退状態に近い、伝説の“国民的美少女”。彼女が山田洋次監督のたっての願いで女優として、スクリーンに久しぶりに登場しているのです。
彼女が演じた及川泉も、海外で結婚し、ほとんど日本には帰ってきていないと言う役柄。彼女のぎこちない演技やじゃっかん不自然な日本語も、役柄にある意味ぴったり合っているといえます。
作中で、中年作家となった光男は、初恋の女性と久しぶりにともに時を過ごしながら、彼女と過ごした日々、そしておじの寅さんとの思い出を思い出していくのです。
4Kデジタル修復された過去のシリーズ作品の映像がふんだんに使われ、若き日の寅さん、若き日のマドンナたちの姿が鮮明にスクリーンに蘇ってきます。
おいちゃんやおばちゃん(三崎千恵子)、タコ社長(太宰久雄)に御前様(笠智衆)といった懐かしいレギュラー出演者たち、そして浅丘ルリ子や吉永小百合といった存命中の大女優、大原麗子や八千草薫、太地喜和子といった今は亡き女優まで、往年の美貌を目にすることができるのです。
シリーズを見続けてきた人にとっては、まさに贈り物とも言えるような珠玉の映像集とも言えるでしょう。
50周年という記念すべき年に作られたこの作品、シリーズの最後を飾るにふさわしい、シリーズ50作目の完結編です。
作品情報
『男はつらいよ お帰り 寅さん』(115分/日本/2019年)
公開:2019年12月27日
配給:松竹
劇場:全国にて
監督・原作:山田洋次
出演:渥美清/倍賞千恵子/吉岡秀隆/後藤久美子/前田吟/池脇千鶴/夏木マリ/浅丘ルリ子/美保純/佐藤蛾次郎/桜田ひより/北山雅康/立川志らく/小林稔侍/笹野高史/橋爪功
Official Website:https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie50/
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