【映画レビュー】シアター・キャンプ / Theater Camp
アメリカの映画やドラマでよく登場するサマーキャンプ。子どもたちが夏の間キャンプで共同生活をしながら、さまざまな経験をつむイベントです。
この映画『シアター・キャンプ』のテーマでもあるシアター・キャンプは、子どもたちが共同生活をしながら、演技や舞台技術について学ぶ、演劇に特化したサマーキャンプのこと。
モリー・ゴードン、ニック・リーバーマン、ノア・ガルビン、ベン・プラットという、注目の映画人たちが、自分たちが子どもの頃から親しんできたシアター・キャンプを題材に作り上げた本作。
母の経営してきたシアター・キャンプを守って自分の価値を示そうとするダメ息子、ここ以外に居場所がないからこそ自分の居場所を守ろうとする講師たち、無邪気に演劇を楽しむ生徒たち。彼らが作り上げる奇跡のようなミュージカルを楽しめる、見逃せない一作です。
STORY
ニューヨーク州北部の湖畔にあるシアター・スクール「アディロンド・アクト」を経営していたジョーンが急に昏睡状態に。もうすぐ夏恒例のシアター・キャンプが始まるため、急遽ジョーンの息子のトロイがスクールの経営に乗り出すが、実はスクールは火の車だった。しかし、キャンプは始まり、クセモノ講師陣と個性豊かな生徒たちがやってくる。トロイは出資者を見つけるが、このキャンプ終了までに出資者に傑作ミュージカルを披露しなければならず……。
解説
日本ではあまりなじみがないですが、アメリカでは子どもたちの夏の過ごし方として知られているサマーキャンプ。その中の一つが演劇を中心とするシアター・キャンプです。
本作の監督であるモリー・ゴードン&ニック・リーバーマンは、子どもの頃に毎年シアター・キャンプに参加し、そこですばらしい友情を築いたそう。その経験が、この作品を作り上げるきっかけとなりました。(この二人は私生活のパートナーでもあります)
エイモス役のベン・プラット、グレン役のノア・ガルビンも、彼らのシアター・キャンプ仲間でした。
彼らの経験と友情を元に作られたこの物語には、このシアター・キャンプですばらしい時を過ごす子どもたちと、かつて子どもとしてすばらしい時を過ごし大人になってもそこに止まる講師たちが出てきます。
彼らには「自分がしたすばらしい経験を子どもたちにも与えたい」という気持ちと、「自分にとっての楽園であるこのキャンプから出ていくのは怖い」という気持ち、両方を抱いています。
演劇の大好きな彼らにとって、そこは天国でもあり、ぬるま湯の地獄でもある……。
そんな彼らも、キャンプのオーナーのジョーンの急病で、現実と向き合う必要が出てくるのです。
そんな彼らを取り巻くのが、個性豊かなキャンプの生徒たちです。
この作品の中で生徒たちは、実際にステージパフォーマンスを多角的に学んでいく様子が、そのまま映し出されています。モキュメンタリー形式で、子どもたちの反応が素直に映し出されており、彼らの自由な言動に目を奪われてしまいます。彼らがキャンプを通じて自分の夢を追及していく様子は、まさにモリー・ゴードン、ニック・リーバーマン、ベン・プラット、ノア・ガルビンらそのままなのでしょう。
演劇という夢を持つことのすばらしさ、そしてそれを続けることのほろ苦さを、生き生きした子どもたちの表情とともに描いたこの作品、映画や演劇を観ることが好きな人であれば、彼らの心を理解しながら楽しむことができるはずです。
作品情報
『シアター・キャンプ』(95分/アメリカ/2023年)
原題:Theater Camp
公開:2023年10月6日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
原作・監督・脚本・出演:モリー・ゴードン
原作・監督・脚本:ニック・リーバーマン
原作・脚本・出演:ノア・ガルビン/ベン・プラット
音楽:ジェームズ・マカリスター/マーク・ソーネンブリック
出演:ジミー・タトロ/パティ・ハリソン/ネイサン・リー・グレアム/アヨ・エデビリ/オーウェン・シール/キャロライン・アーロン/エイミー・セダリス
Official Website:https://www.searchlightpictures.jp/movies/theatercamp