【映画レビュー】アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール / La musica del silenzio
サラ・ブライトマンとのデュエット曲「タイム・トゥ・セイ・グッバイ(コン・テ・パルティロ)」などで知られる世界最高峰のテノール歌手の一人、アンドレア・ボチェッリ。
幼い頃から目が不自由だった彼は、音楽を愛し、個人の音楽指導者に師事してオペラを学んでいました。
そして30代後半になった頃に、ようやくイタリアの著名なミュージシャンであるズッケロに見出されて世に出ることができました。いわば、遅咲きの天才とも言えるのが、このアンドレア・ボチェッリなのです。
本作『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』は、ボチェッリの人生を彼自らが書いた自伝的小説を基に映画化したもの。
劇中の歌唱シーンにはアンドレア・ボチェッリ本人の歌声が使われており、「アヴェ・マリア」、「誰も寝てはならぬ」(「トゥーランドット」より)などの素晴らしい歌声を堪能することができます。
<STORY>
イタリア・トスカーナ地方に生まれたアモスには、生まれながらに眼に異常があり、12歳で失明してしまう。叔父に連れられて音楽コンクールに出たアモスは、その歌声を認められることに。声変わりでソプラノが出なくなって以来、音楽から離れていたアモスだが、大人になり再び音楽を始める。バーでピアニストのアルバイトをしていたアモスはその歌声を絶賛され、有名なオペラ歌手を育てたスペイン人マエストロの指導を受けることになる。
<解説>
本作では、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でトリスタン・マーテルを演じるトビー・セバスチャンがアンドレア・ボチェッリを演じています。
マイケル・ラドフォード監督いわく「ボチェッリに似ていなくもない、そっくりというわけでもないがきっと彼はボチェッリになれる」というトビー・セバスチャン、盲目のテノール歌手を魅力的に演じています。
そんな若い弟子を厳しく、かつ柔軟に指導するスペイン人のマエストロを演じるのは、アントニオ・バンデラス。
かつて濃厚なセクシーさで人気を博したバンデラスですが、今作のマエストロ役ではいい感じに枯れていて、これまた魅力的。
歌うトビー・セバスチャンとそれを見守るアントニオ・バンデラス、映像的にも魅力的です。
とはいえ、この作品で描かれているアモスのメンターは、マエストロだけではありません。
一番のメンターは、アモスにオペラの魅力を教え、彼の歌の才能を見出し、大人になってもその才能を信じ続けていたジョヴァンニ叔父さんでしょう。
他にも、アモスの両親、アモスの妻となるエレナ、親友など、彼を導いた人はたくさん。
盲目というハンデを負った彼を励まし、音楽の道へ進む勇気を与え、チャンスに恵まれない中で支え続けてくれた周囲の人たち。
彼らがいたから、アモスは逆境に負けずに音楽への情熱を持ち続けることができたのです。
この作品で描かれているのは、人との出会いの重要性とも言えます。
才能がある人が、その才能を見出してくれる人と出会い、適切な努力をし、不遇の時代にもあきらめなかったからこそ、“世界最高峰のテノール歌手”が誕生したのです。
アモスを“アンドレア・ボチェッリ”にしたのは、アモスの才能と努力、そして何より、周囲の人々のサポートだということが実感できました。
『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』(115分/イタリア/2017年)
原題:La musica del silenzio
英題:The Music of Silence
公開:2019年11月15日
配給:プレシディオ、彩プロ
劇場:新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
原案:アンドレア・ボチェッリ
監督・脚本:マイケル・ラドフォード
脚本:アンナ・パヴィニャーノ
音楽:ガブリエル・ロベルト
出演:トビー・セバスチャン/アントニオ・バンデラス/ジョルディ・モリャ/ルイザ・ラニエリ/エンニオ・ファンタスティキーニ/ナディール・カゼッリ/アレッサンドロ・スペルドゥーティ/フランチェスコ・サルビ/カーラ・カッソーラ/ベロニカ・ボチェッリ
Official Website:http://bocelli.ayapro.ne.jp/
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