【映画レビュー】スマグラー おまえの未来を運べ
クセモノ監督・石井克人のもと、クセモノ俳優たちが楽しげに怪演を繰り広げるバイオレンス・エンターテインメント・ムービー『スマグラー おまえの未来を運べ』。
いやー、皆さん、ちょっとやり過ぎじゃないの?と思うくらい、入れ墨だのボサボサ眉毛だのの入魂のメイクを施して、楽しそうに狂気の演技を見せてくれます。
やっぱり、一番の見どころはチャイニーズ・アサシン“背骨”を演じた安藤政信の演技と、ジャパニーズ・ヤクザの河島を演じた高嶋政宏の演技でしょうかね。
基本的に、イタい描写は苦手な私なのですが、突き抜けすぎているせいで、なんだか逆にまったく平気でした。
それにしても、あのルックスで安藤くんは1975年生まれの35 or 36歳かあ。
なんだか感慨深いですね。。。
STORY
パチスロの裏ロムに手を出し300万円の借金を作ってしまった25歳のフリーター・砧。闇金業者の山岡の紹介で、ジョーという男の下でスマグラーとして死体運びのアルバイトをすることに。初めての仕事は、チャイニーズ・マフィアに狙われ、暗殺者の“背骨”と“内蔵”が始末した田沼組組長たちの死体だった。しかし、田沼組の幹部たちに目を付けられた山岡とスマグラーは、“背骨”と“内蔵”を探し出し、田沼組まで移送することを命じられる。
解説
「闇金ウシジマくん」などで知られる漫画家・真鍋昌平の原作を、『PARTY7』、『茶の味』などで知られる石井克人が映画化した本作。
強烈なキャラクターと鮮烈な映像、バイオレンスな世界観が印象的な一作です。
やっぱりどうしてもキャラクターのことを語ってしまいがちなのですが、映像もなかなかに凝っています。
昨今のデジタルカメラで撮影した映像ではなかなか観られないザラッとした質感の映像や、ハイスピードカメラで撮影したアクション・シーンをスローで見せる映像など…。
リアルさはあるのにグロテスクではない、リアル感が逆に(いい意味で)笑いを誘う、そんな映像を見せてくれます。
キャラクターも、みんなかなり作り込まれた濃いキャラばかり。
冒頭にあげた安藤政信、高嶋政宏はもちろんのこと、薄い眉毛でまるでキム兄のような永瀬正敏や、ゴスロリ衣装に身を包んだ太眉の松雪泰子、ちょっと髪型が不自然なヤクザの姐御・満島ひかりなど、みんないい味を出しています。
そんな中、主役の砧涼介を演じる妻夫木聡だけは、唯一普通のキャラなのですが…。
物語が終盤にかかるに従って、彼の演技がどんどん凄みを増していきます。
普通の青年が、どんどんと狂気を帯びていく様子は、“好青年”が似合う彼ならではなのではないでしょうか。
まあ、暴力描写が激しいので、全ての方にオススメできるような映画ではないですが、新しい刺激を求めている方、石井克人監督ならではの映像を楽しみたいという方は、ぜひ観てみてください。
あ、一ヶ所、ある名作ホラー映画を思わせる、かなり悪ふざけ的な映像があるのですが、あそこはフルCGらしいですよ。いやー、思わず笑っちゃった。
作品情報
『スマグラー おまえの未来を運べ』(114分/日本/2011年)
公開:2011年10月22日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:全国にて
原作:真鍋昌平
監督・脚本:石井克人
出演:妻夫木聡/永瀬正敏/松雪泰子/満島ひかり/安藤政信/テイ龍進/我修院達也/阿部力/高嶋政宏/小日向文世/清川均/島田洋八/松田翔太/大杉漣/津田寛治/寺島進
公式HP:http://www.smuggler.jp
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