【映画レビュー】脳内ポイズンベリー
恋愛途上の一時期、好きな男性、もしくは気になっている男性と話す時など、女性の頭の中では様々な感情がぐるぐる回ったりします。
積極的に行くべきか、ちょっと気のないふりをするべきか、無邪気なふりをするべきか…。
まあ、頭の中の思考は一瞬なわけで、ほぼ反射的にどれかの反応を選んでいたりするわけですが、その状態は、まさに頭の中で会議をしている状態と一緒といえるのかもしれません。
と、そんな女性の“脳内会議”の模様をコミカルに映像化して見せた映画が、この『脳内ポイズンベリー』。
男性の脳内でこんな会議が行われているかはちょっと私には不明ですが、この映画の脳内会議の様子に共感してしまう女性、かなり多いのではないでしょうか。。。
STORY
30歳の櫻井いちこは、ある飲み会で23歳の早乙女くんと出会う。アーティスト気質な彼の言動に惹かれたいちこは、駅のホームで偶然彼を見かける。その時、いちこの脳内では、理性を司どる吉田、ポジティブな石橋、ネガティブな池田、衝動的なハトコ、すべてを記憶する岸さんらの脳内会議が開かれていた。会議の結果、いちこは早乙女くんに話しかけた。結果、二人で食事に行った後そのまま一夜を過ごしてしまい、二人は付き合うことに…。
解説
30歳になったばかりの女性・櫻井いちこが経験する、恋愛&仕事状の様々なできごとと、そんないちこの頭の中で展開する会議の模様を描いた作品です。
この映画で真木よう子が演じているいちこは、過去に恋愛で傷ついた経験があり、自分に自信を持ちきれない、現実に臆病な女性です。
そんな彼女が出会うのは、無根拠な自信たっぷりなアーティストの年下男子・早乙女くん(古川雄輝)。
そして、そんな彼女を仕事でサポートしてくれるのは、いちこの能力を認めてくれ自信を持たせてくれる、仕事のできる大人の男性・越智さん(成河)です。
乙女心としては早乙女くんを好きになったものの、越智さんに思いがけない告白をされ、戸惑ういちこ。
彼女はどうしたいのか? どうするべきなのか?
すぐにパニックになるいちこの頭の中では、理性を司どる吉田(西島秀俊)、ポジティブな石橋(神木隆之介)、ネガティブな池田(吉田羊)、衝動的なハトコ(桜田ひより)、すべてを記憶する岸さん(浅野和之)という5人のメンバーで、常に会議が開かれるのです。
この会議の模様は、いちこの頭の中にあるお城で行われるわけですが、その会議がとても面白いのです。
芸達者な俳優陣が5人揃って、閉ざされた会議室の中でテンポよくセリフの応酬を繰り広げるその様子は、まるで舞台劇のよう。
演劇的な楽しさも味わえます。
そう、この映画の監督は佐藤祐市。
小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、香川照之らがコミカルにセリフの応酬を繰り広げた2007年のコメディ映画『キサラギ』の監督なのですね。
セリフのテンポのよさや、俳優陣の掛け合いによる物語の進行など、お手の物なわけですね。
脳内のキャラクターも、中年男性、若い男性、初老男性、アラフォー女性、少女といったいろいろなタイプを取り揃え、アラサー女性の頭の中で展開するごちゃごちゃ感を、見事に演出しているのでした。
現実世界、脳内世界、二つの世界を使ってこの映画『脳内ポイズンベリー』が描いているのは、“櫻井いちこが自分を取り戻し、幸せを目指す”までの物後。
理性だけが正しいわけじゃない、衝動がまちがっているわけでもない、ネガティブに考えるのが必要なこともあり、ポジティブに一歩も踏み出すことも必要。時には本能に身をまかせることだってあってもいい。
迷いの多いアラサー、アラフォー女性は、なんだかエールを送られているような気になれる作品だと思います。
作品情報
『脳内ポイズンベリー』(121分/日本/2015年)
公開:2015年5月9日
配給:東宝
製作国:全国にて
原作:水城せとな
監督:佐藤祐市
脚本:相沢友子
音楽:井筒昭雄
出演:真木よう子/西島秀俊/神木隆之介/古川雄輝/成河/吉田羊/桜田ひより/浅野和之/岡本玲/野波麻帆
Official Website:http://www.nou-poi.com/
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