【映画レビュー】Mr.ノーバディ／ NOBODY

2021/5/18 外国映画ま行, 映画レビュー

アクション映画には王道のパターンというものがあります。
そのうちのひとつが、“強そうに見えなくてナメてかかっていた男が、実は超強かった”というパターン。“引退していた元◯◯が、何かをきっかけに昔取った杵柄で再び立ち上がる”パターンの類型とも言えます。

例えば、「ジョン・ウィック」シリーズでキアヌ・リーブスが演じた犬を愛する元殺し屋のジョン・ウィックなんかはまさにそのパターンですね。。

『RED/レッド』でブルース・ウィリスが演じた引退した元CIAスパイのフランク・モーゼズもそうだし、「96時間」シリーズでリーアム・ニーソンが演じる娘を愛するパパで元CIA秘密工作員ブライアン・ミルズなんかもそうですね。

本作『Mr.ノーバディ』は、まさにその“ナメていた男が元◯◯で実は超強かった。彼とそのファミリーが昔取った杵柄で再び立ち上がる”という王道パターン。
ボブ・オデンカークが、どこにでもいるようなダメ親父かと思いきや、実は凄まじい戦闘力を秘めた男を演じています。
を務めたデヴィッド・リーチ（『ジョン・ウィック』の監督）がプロデューサーを、デレク・コルスタッド（『ジョン・ウィック』の脚本家）が製作総指揮・脚本を務めているだけあって、その面白さは折り紙付き。

とにかく何も考えずに観て欲しい、オヤジが大活躍する痛快アクション映画です。

STORY

金型工場に勤めるハッチ・マンセルは、同じような日々を送る普通の男。妻と息子から冷たくあしらわれ、味方は幼い娘だけだ。ある夜、ハッチは家を襲った二人組の強盗を何もせずに逃がし、息子に落胆されてしまう。翌日、ハッチが乗っていた路線バスにチンピラが乗り込んできた。ハッチはこの傍若無人なチンピラたちをブチのめしてしまう。そのチンピラの中にはロシアンマフィアの幹部の弟がおり、ハッチはマフィアに狙われる羽目に……。

解説

ドラマ「ベター・コール・ソウル」で知られるいぶし銀俳優のボブ・オデンカーク。
本作は、このボブ・オデンカークが“何者でもない”男を演じるハードボイルド・アクションです。

普段は毎日、毎週ルーティンを繰り返しながら、路線バスで職場の金型工場に通っています。
家族も近所の人も会社の同僚も、みんなハッチのことを平凡なつまらない、何者でもない人間だと思っていましたが、実は凄腕の“監査官”だったのです。

彼はそんな過去を忘れ、日々平凡に暮らしていました。
そんな彼の家に強盗が入りました。その時はハッチは強盗に反抗せず、強盗を逃がしてしまいます。
しかし、愛する娘が猫ちゃんのブレスレットを強盗に奪われて悲しんでいることを知り、ブレスレットを取り戻しに強盗の家に向かうのです。
そして、その帰りのバスで、傍若無人なチンピラに出会ってしまい、ついつい彼は忘れていた本能を甦らせてしまうのでした。。。

そのチンピラを半殺しにしたことがきっかけで、ハッチはロシアン・マフィアと戦うことになってしまいます。
そのロシアン・マフィアとの銃撃戦の激しさは、凄まじいの一言。
「ジョン・ウィック」シリーズの製作陣が手がけているだけあって、創意工夫に満ち、クールな中にもどこかコミカルさもあるアクションシーンが繰り広げられていきます。

自身が製作を手がけるボブ・オデンカークはこの映画のために2年間のトレーニングを積んできたということで、リアルなアクションを見せてくれます。
ハッチのファミリーを演じるクリストファー・ロイド、RZAとのコンビネーションや、アクレイセイ・セレブリャコフ演じる敵役のユリアンのキャラクターも魅力的で、アクション映画ファンなら、ついついニヤニヤしてしまうはず。

『ハードコア』で注目を集めたロシア生まれのイリヤ・ナイシュラー監督、また映画界に素晴らしい才能が現れましたね。。。

作品情報

『Mr.ノーバディ』（92分／アメリカ／2020年）
原題：NOBODY
配給：東宝東和
公開：2021年6月11日
劇場：全国にて
監督：イリヤ・ナイシュラー
製作総指揮・脚本：デレク・コルスタッド
製作総指揮：トビー・マグワイア／マーク・フィッシャー／アニー・マーター
製作：デヴィッド・リーチ
製作・出演：ボブ・オデンカーク
出演：コニー・ニールセン／RZA／マイケル・アイアンサイド／クリストファー・ロイド／アクレイセイ・セレブリャコフ／ゲージ・マンロー／ペイズリー・カドラス／コリン・サーモン／J.P.マヌー／アレクサンドル・パル／セルゲイ・シュヌロフ／ビリー・マクラーレン／アラヤ・メンゲシャ
Official Website：https://www.universalpictures.jp/micro/mr-nobody