愛を歌う花 / 해어화
ハン・ヒョジュが1940年代という激動の時代に生きた妓生を演じる映画『愛を歌う花』。
桃の花のように美しい娘時代から、愛と嫉妬に狂い自分を見失っていく女盛りの時代まで、ハン・ヒョジュが鮮烈な演技を見せています。
ハン・ヒョジュやチョン・ウヒの歌声や、西洋、韓国、日本の文化が少しずつ入り混じった街並み、彼女たちが着こなす美しいチマチョゴリなど、見応えたっぷりな哀しい愛の物語でした。
<STORY>
1940年代、朝鮮は日本の統治下にあった。京城唯一の券番(妓生養成学校)で共に学ぶソユルとヨニは幼い頃からの無二の親友。朝鮮に伝わる正歌(ジョンガ)の名手で美貌でも知られるソユルは、作曲家のユヌと恋に落ちる。その頃、妓生出身の流行歌手が多く誕生していた。ソユルの紹介でヨニの歌声を聞いたユヌは、彼女を歌謡曲の歌手としてスカウトし、彼女のために「朝鮮の心」という曲を作る。やがて、ソユルの心に嫉妬の炎が燃え始め…。
<解説>
1940年代、日本統治末期の朝鮮・京城を舞台にした本作。
主人公のソユルは、妓生。
妓生とは高い教養と正歌(ジョンガ)、パンソリなどの技能を持ち、酒席などにはべる女性です。
芸技を披露するのはもちろんですが、娼婦の役割を求められることもありました。彼女たちは言語を解する花、“解語花(ヘオファ)”とも呼ばれました。
ハン・ヒョジュ演じる主人公のソユルは正歌(ジョンガ)の高い技能を持つことから、芸を披露し席に華を添える存在。
その技能と美貌には、強い自信を抱いていました。さらに作曲家のユヌと恋愛関係にあることもあり、すべては順風満帆、自信に満ち溢れた存在だったのです。
そして、そのソユルの親友は、チョン・ウヒ演じるヨニ。
愛らしくはあるけれど、美貌や人気ではソユルには勝てない存在でした。
しかし、時代は変化していきます。
民衆は朝鮮に伝統的に伝わる正歌(ジョンガ)より歌謡曲を求め、歌謡曲を歌う歌手が人気を博していたのです。
そして、その歌謡曲の歌い手として作曲家のユヌに見初められたのは、ヨニでした。
一番の妓生という誇りを持っていたソユルは、親友ではあってもどこか妓生として下に見ていたヨニに歌で負けたことにプライドを傷つけられます。
さらに、自分が愛していたユヌがヨニに愛を抱き始めたことを知り、暗い嫉妬の炎を燃やすようになるのです。
そこからのソユルの行動は、もはや人としての誇りを捨てたものでした。それほどに彼女が受けた傷は大きかったということなのでしょうが…。
ハン・ヒョジュは、そのソユルの心情を実に見事に演技で表現しています。
歌へのプライドをへし折られ、さらに恋に傷ついたソユルのうつくしくもおぞましい表情をぜひ堪能して欲しいと思います。
『愛を歌う花』(120分/韓国/2016年)
原題:해어화(解語花 ヘオファ)
英題:Love,Lies
公開:2017年1月7日
配給:クロックワークス
劇場:シネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにて
監督:パク・フンシク
出演:ハン・ヒョジュ/ユ・ヨンソク/チョン・ウヒ/パク・ソンウン
Official Website:http://aiuta-movie.com/
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