【映画レビュー】花戦さ

映画「花戦さ」オフィシャルブック

花道、茶道、日本画、狂言、歌舞伎。
さまざまな伝統文化の担い手が見事なコラボレーションを行い、“映画”という総合芸術の形で素晴らしい作品を作りげてくれました。

それが、この映画『花戦さ』です。

美しい花に、素晴らしい所作、そして優れた身体表現、心ゆさぶる演技。
これを大きなスクリーンで堪能できるなんて、なんて眼福。
さらには、見事な円環を成すよく練られた脚本も素晴らしく。

美しいものを見る快感、物語を堪能する喜びを味わわせてくれた、見事な作品でした。

<STORY>
京都の頂法寺に暮らす花僧・池坊専好は、仏に花を供えることで人々の幸せと世の安寧を祈っていた。1573年、専好は、織田信長の居城・岐阜城で昇り龍のような巨大な松を活け、豊臣秀吉、前田利家、千利休らが居並ぶ前で信長から賞賛を受ける。それから10数年、秀吉の治世下。無情な世で花を活けることに悩んでいた専好だが、再会した千利休のもてなしに、花を活ける心を取り戻す。その頃、利休と秀吉との関係は悪化の一途をたどっていた…。

<解説>
この映画の舞台は16世紀末の日本。
織田信長豊臣秀吉らが活躍し日本の覇権を争っていた頃の京都です。

この頃、京都の頂法寺・六角堂には仏に花を供えることで、人々の幸せと世の安寧を祈る僧侶・花僧がいました。
本作の主人公は、この花僧であり六角堂の執行(しぎょう)となった池坊専好。

この専好さん、花を愛し、自然を愛し、人を愛し、人から慕われる、ちょっと風変わりなお人です。
でも、お花を生けさせたらそのセンスは素晴らしく、かの織田信長や千利休をも魅了するほど。
おもてなしの心を“茶の湯”で表現する利休とは、道を成したもの同士、通じるものがありました。

そんな利休が秀吉から切腹を命じられたことを憂い、さらに市井の人々を苦しめる秀吉に怒りを抱いた専好は、花で秀吉に戦さを挑みます。
誰も殺さず、誰も傷つけず、ただ花と絵の美しさや素晴らしさを体感させることで、秀吉を感服させる…。
それが、専好の戦いでした。

この物語、「1594年に初代・池坊専好前田利家邸で巨大な松をいけて秀吉から賞賛された。そしてその花で専好が秀吉を諌めた」という華道家元池坊に伝わる伝説をもとに鬼塚忠が書いた小説を、森下佳子が大幅に改定して脚本に仕上げたものだそう。

この映画には、いけばな、茶道、日本画、京の文化など、生きた芸術が詰まっています。
池坊が監修した200瓶を超えるいけばなが登場し、茶道の方からは表千家不審菴、裏千家今日庵、武者小路千家官休庵の三千家が協力しています。
また小松美羽が手がけた劇中絵画や書家の金澤翔子が手がけた題字など、すべてが見所と言えるでしょう。

さらに、狂言師の野村萬斎野村萬斎、歌舞伎俳優の市川猿之助が見せる流れるような身体表現など、そのどれも長い時間を経て培われたもののもつ力、美しさを感じさせてくれるもの。

篠原哲雄監督が手がけた映画『花戦さ』、日本古来の芸術や美術に興味がある方には必見の一作です。

『花戦さ』(127分/日本/2017年)
公開:2017年6月3日
配給:東映
劇場:全国にて
原作:鬼塚忠
監督:篠原哲雄
脚本:森下佳子
音楽:久石譲
劇中絵画:小松美羽
出演:野村萬斎市川猿之助中井貴一佐々木蔵之介佐藤浩市高橋克実山内圭哉和田正人森川葵吉田栄作竹下景子
Official Website:http://www.hanaikusa.jp/

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