【映画レビュー】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ／ Guardians of the Galaxy

「マーベルの新作映画！　え？　アライグマ？　木でできた人？　え、なに？　それって、ヒーローなの？　カッコいいの？」
と、初めて作品概要を聞いた時は、「？？？」となってしまった映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。

日本ではほとんどなじみのないヒーローたちが登場して宇宙で大暴れするこの映画、実はなんともエモーショナルで、心を揺り動かされてしまいました。

いやー、そこそこ長年生きてきたけれど、ラスボスとの対決シーンで声を出して大声で笑ったのは初めてだわ。
そしてさらに、その直後には思わず感動で涙を流してしまいました。

強烈なキャラクターとデコボコな妙なチーム編成についつい騙されがちですが、なかなかにドラマティックなエンターテインメント作品です。

宇宙を舞台にしたこの作品。
銀河の秩序を司る星・ザンダー星を中心に、惑星モラグや惑星ノーウェアなど、様々な場所で物語が展開していきます。

登場するのも、地球人だけではなく、様々な種族が登場します。
地球から子どもの頃に誘拐された地球人・ピーターに、殺人兵器として訓練を積んだ緑の肌の美しき女性暗殺者・ガモーラ、屈強な緑の肉体に不思議な文様の刻まれた荒くれ者・ドラックス。
そしてさらに、遺伝子操作をされて高度な人工知能を備え、マシンや戦術に強く、口の悪いアライグマ・ロケット。
そのロケットの相棒で「I am Groot」しかしゃべれない樹木型ヒューマノイド・グルート。

この映画は、こんな見るからにバラバラな彼らがなりゆきでチームとなり、銀河を混乱と滅亡に陥れようとする“闇の存在”と戦っていく様子を描いています。

彼らの思惑や狙いは、本当にバラバラ。
しかし、強大な敵を前に、自分たちの暮らすザンダー星に滅亡の危機が訪れた時、彼らは利害を捨てて団結し、思いがけず“銀河の守護者”となっていくのです。

ジェームズ・ガン監督は、ともすると設定だけでポップで軽い物語となりそうなところに、様々なエモーショナルな物語をしかけています。
親子愛、亡き家族への想い、裏切り、自己犠牲、許し、友情、努力、勝利。まさに黄金法則どおり、観客は思いがけず、心を揺さぶられてしまうのです。
しかも、劇中で1970年代の地球のヒットチューンの数々が重要なアイテムとして使われるなど、さらなる仕掛けも満載で、思わずポイントをつかれてしまうのでした。

オトナ心やオタク心など、いろいろなお楽しみポイントが詰まった本作ですが、個人的に一番ツボだったのは、「I am Groot」しかしゃべれないグルートの声をヴィン・ディーゼルが担当していることでしょうか。
図体ばかり大きくて、一見ウドの大木のようなグルート。
「I am Groot」しかしゃべれない一見頭の悪そうなグルート。

そんな、一見ウドの大木のようなグルートの声を、相変わらずいい声のヴィン・ディーゼルが担当しているのです。なんてセンス。
ちなみに、おしゃべりで罵詈雑言言いまくりのアライグマ・グルートの声を担当しているのは、ブラッドリー・クーパー。
二人のセリフ量、そしてギャラがどのくらい違うのか、そのあたりを考えてみても、ニヤニヤがとまりません。