【映画レビュー】チャイルド44 森に消えた子供たち / Child 44
『ダークナイト ライジング』のベインから、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のマックスまで、粗野で無口、でも実はいいヤツ、というようなイメージのある俳優、トム・ハーディ。
そのトム・ハーディがスターリン独裁政権下のエリート軍人を演じたのが、この映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』です。
今は亡き“ソビエト連邦”の中の人は、どんな社会でどんな生活を送っていたのか…。
全体主義国家の恐ろしさを実感させる、人間の恐ろしさと小ささ、そして強さを描くミステリーです。
子どもの涙のシーンから始まるこの映画。
「子どもたちは国の宝だ」という農夫のセリフが、観終わった後に心に響きます。
STORY
1953年。ソ連の国家保安省のエリート捜査官であるレオは、モスクワで妻ライーサと共に豊かな生活を送っていた。ある日、レオの同僚・アレクセイの息子の遺体が発見されるが、「理想国家に殺人はありえない」と事故で処理されてしまう。やがて、ライーサのスパイ容疑で地方都市ヴォリスクに左遷されたレオは、そこでアレクセイの息子と同じようなしるしを付けられた少年の死亡事件が多く発生している事を知り、密かに真相を調べ始める。
解説
旧ソビエト連邦で実際に起きた「アンドレイ・チカチーロ連続殺人事件」をモチーフにしたトム・ロブ・スミスの小説「チャイルド44」。
権威ある英国推理作家協会からイアン・フレミング・スチール・ダガー賞が授けられ、日本でも「このミステリーがすごい!」で2009年版海外編で第1位に選ばれつつも、ロシアでは発禁書となっているこの小説が、『デンジャラス・ラン』のダニエル・エスピノーサ監督の手により映画化されたのが、本作『チャイルド44 森に消えた子供たち』です。
本作の主人公は、トム・ハーディ演じるエリート軍人のレオ・デミドフ。
戦争の英雄として、将来を約束された存在かと思いきや、上司であるクズミン少佐、部下であるワシーリーらのたくらみにより、失脚してしまいます。
これまで、スターリンの独裁政治下とは言え、安泰な人生を歩んでいけるマッチョな軍人だった主人公のレオは、思わぬ転落を機に、その社会の歪みを実感します。
そして、子どもたちの死亡事件が44件も起きていることを知り、「楽園であるソ連では殺人事件は起こるはずはない」というタブーに挑み、子どもたちの死亡事件の真相を探り始めるのです。
転落を経て、レオは、マッチョな軍人から無力なただの男になっていきます。
しかし、“力”を失い、社会の矛盾に直面したからこそ、彼はタブーに挑む“力”を得るのです。
独裁政権という歪んだ社会の恐ろしさ、強き者に簡単に巻かれてしまう人間の弱さを描いたこの映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』、本当に国が大事にするべきものは何かを、静かに訴えかけてきます。
作品情報
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(137分/アメリカ/2015年)
原題:Child 44
公開:2015年07月03日
配給:ギャガ
劇場:TOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて順次公開
原作:トム・ロブ・スミス
監督:ダニエル・エスピノーサ
脚本:リチャード・プライス
音楽:ジョン・エクストランド
出演:トム・ハーディ/ゲイリー・オールドマン/ノオミ・ラパス/ジョエル・キナマン/パディ・コンシダイン/ジェイソン・クラーク/ヴァンサン・カッセル
Official Website:http://child44.gaga.ne.jp/
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