【映画レビュー】海角七号/君想う、国境の南 / 海角七號
2008年の9月に台湾で公開され、大ヒットを記録した映画『海角七号/君想う、国境の南』。
台湾の歴代映画興行成績ランキングで、2位という記録を打ち立てた映画です。
第二次世界大戦終戦時と現代の、台湾人と日本人のふたつの恋物語を、台湾の南端・恒春ののどかな雰囲気の中で描いています。
台湾って日本に統治されていたから、その時代の台湾の人は日本名を名乗らされていたのですね…。
なんだか観ていて不思議に思うことが多かったのです。
無知って恥ずかしいわ。。。
STORY
台北でミュージシャンの夢に破れた阿嘉(アガ)は、故郷・恒春に帰り、郵便配達員として働くことになる。現代では使われていない古い住所「海角七号」へ日本からの郵便物が届くが、阿嘉はそのまま自分の部屋に放置していた。ある日、日本のミュージシャン・中孝介のコンサートの前座のために、急ごしらえでバンドを組むことになる。そのバンドのマネージャーとして、友子という日本人女性が恒春に滞在することになるのだが…。
解説
台湾人と日本人の恋物語をふたつの恋物語を描いたこの作品。
映画を普通に観ているだけでは、時制がちょっとわかりづらいです。
物語のひとつの軸は、1940年代。
日本人の教師である男性が、現地の女性と恋に落ちました。
女性の名前は小島友子。当時は、台湾人も日本名を名乗らされていたのですね。
教師は、終戦と同時に日本に引き揚げることとなり、引き揚げ船の中で友子に手紙をしたためます。
その手紙は、男性の死後、男性の娘により、友子がかつて住んでいた住所「海角七号」へ送られて来ます。
もうひとつの軸は、現代。
ミュージシャンを目指した阿嘉(アガ)は、故郷で急遽バンドを組むことになります。
そのバンドのお目付け役としてやって来た日本人女性・友子。
気の強い友子と、やる気のない阿嘉は反目しあいますが、ある夜、酔っ払った友子は、阿嘉に異国でひとり懸命に気を張っている辛い心情を吐露してしまいます。
そして友子は、阿嘉の部屋で古い小島友子宛ての手紙を発見し、阿嘉にその手紙を届けるように助言するのです。
「この手紙は、ほんとうに大事な手紙だから、絶対に友子さんに届けてあげて」と。
現代パートのラブストーリーはちょっと陳腐で、一昔前のような演出が目につくし、いろいろな伏線が放置されたままのエンディングだし、キャラ設定もベタ過ぎるような気がして、マイナス点が多く目につきます。
脇を固めるキャラクターたちは、みんな個性的でいい味を出しているのですが…、いかんせん、主役のふたりの心情の描き方がちょっと弱い。展開も唐突だし。
なぜ台湾歴代ランキング2位を記録したのか、かなり不思議だったのですが、日本による台湾統治の歴史を理解したうえでこの映画を観ると、また違う感想があるのかもしれません。
それにしても、こういったアジア映画の中で日本人女性が出てくると、「いやー、日本人はこんなことしないでしょう」と思うことがよくあります。
今回の友子は、言葉の通じない台湾人たちの中に混じって(彼女は中国語は話せるが台湾語は話せないという設定)、バンドのライブを成功させるためにひとりで奮闘する女性。
課せられたミッションをやり遂げるため、バンドのメンバーを厳しく叱咤したりする役どころ。
でも、日本人の普通の女の子って、どんなに腹を立てたとしても、老人に対して「早くやりなさいよ!」と上から叱りつけたり、口喧嘩をしながら舌打ちをしたりしない気がします。
映画を観ながら「日本人が書いた脚本とはやっぱり違うよなぁ…」と、しみじみ思いました。
まあ、こういう意見こそが自らに対する偏見なのかもしれませんが、私的にはこの現代パートの友子に、リアリティを感じられなかったのでした。
作品情報
『海角七号/君想う、国境の南』(130分/台湾/2008年)
原題:海角七號
英題:Cape No.7
公開:2009年12月26日
配給:ザジフィルムズ、マグザム
劇場:シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開
監督・脚本:ウェイ・ダーション(魏徳聖)
出演:ファン・イーチェン(范逸臣)/田中千絵/中孝介
公式HP:http://www.kaikaku7.jp/
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