【映画レビュー】四十九日のレシピ

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四十九日と言えば、亡くなった人を今生から来生に送る、大切な日。
仏教で法要を営む家では、人の死後、49日目にお坊さんを呼んで法要を行うことも多いはずです。

「そんな型通りの法要なんて、イヤ! どうせだったら生前にお世話になった人たちに集まってもらって、大宴会をして欲しい!」

映画『四十九日のレシピ』では、形式張った法要を嫌い、自分の四十九日を遺された人たちに楽しく過ごしてもらいたいというビジョンを持って用意してきた女性と、遺された夫と娘の物語です。

毎日の生活を丁寧に大事に生きていくってステキだな…、そんな風に思わせてくれる優しい物語だと思います。

STORY

夫の浩之と義母と東京で暮らしていた百合子は、母・乙美の死を機に実家に帰ることにする。実は浩之は浮気をしており、浮気相手のお腹の中には子どもがいるというのだ。実家に着くと、父と派手な化粧をした若い娘の姿がいた。イモと名乗るその娘は、乙美がボランティアをしていた更生施設で彼女に世話になっていたと言う。イモは乙美が作っていた暮らしのレシピカードを差し出し、乙美の望む「四十九日の大宴会」をやろうと言い出す。

解説

誰しもが迎える“親の死”。
昨今では親と別居している人も多く、親と子でお互いに何を考えているかを知らない人も多いことでしょう。

この映画『四十九日のレシピ』では、突然の母親の死後、母親がどうやって暮らしてきたか、母親がどうやって人と関係してきたかを知る血の繋がらない娘の姿が描かれています。

子どもを産めないことにコンプレックスを抱いていた娘が、生涯自分のお腹を痛めて子どもを生むことがなかった母親がどのように生きてきて、どのように人びとから慕われていたことを知り、自らも救われていくのです。

この母親・乙美は、自分の死後、「四十九日の大宴会をして欲しい」と言い残して亡くなるのですが、こういう見送られ方はステキだなと思います。
私が死んだ時も、お葬式とかお墓とか別にいらないので、みんなで飲んで笑って想い出を話してもらえればいいなと思います。

こんな風に思う人、きっと多いのではないのでしょうか。
自分がどうやって見送られたいか、何を遺せるかを考えさせてくれる、やさしい映画だったと思います。

それにしても、童顔ながらも張りつめた表情の似合う永作博美、気持ちをうまく言葉にできずつい声を荒げてしま老父を演じる石橋蓮司、それぞれに“実際にいそうな”不器用な父と娘でした。

ロリータ少女を演じる二階堂ふみと日系ブラジル三世を演じる岡田将生の若い二人はちょっと突飛な役柄ですが、この二人がいなければ地味すぎて華がなさすぎたことでしょう。

タナダユキ監督は、リアルなキャラクターと突拍子のないキャラクターをうまく登場させ、実際にありそうでなさそうな、調和のとれたファンタジーを作り出してくれました。

関連レビュー

MYLOHASニュース:辛いことがあっても明るくなれる。母から伝わる「暮らしのレシピ」

作品情報

『四十九日のレシピ』(129分/日本/2013年)
公開:2013年11月9日
配給:ギャガ
劇場:新宿バルト9、有楽町スバル座ほか全国にて
原作:伊吹有喜
監督:タナダユキ
脚本:黒沢久子
出演:永作博美石橋蓮司岡田将生二階堂ふみ原田泰造淡路恵子内田慈荻野友里/中野英樹/小篠恵奈執行佐智子赤座美代子茅島成美
公式HP:http://49.gaga.ne.jp

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