指輪をはめたい
「あー、やっぱり男の人って、結局そこから抜けられないのね…」
などと、女性としてはちょっと淋しい気持ちになってしまたりするこの映画、『指輪をはめたい』。
スケートリンクで転び、“愛する人”に関する記憶だけを、ぽっこり喪失してしまった男を描いています。
それにしても、ツンデレ系知的美女(小西真奈美)、エロカワ系おバカ美女(真木よう子)、フシギ系どんくさ美女(池脇千鶴)、三人の女性を手玉にとり、挙げ句はあんな感じとは…。
世の中の男性陣、こんな幸せを認識できていない山田孝之演じるこの主人公、許してしまっていいんでしょうか。
<STORY>
スケートリンクで転んで頭を打った片山輝彦。一見なんの問題もないかと思ったが、生活するうちに、“愛する人”の記憶だけがぽっこり抜け落ちていることに気付く。しかも、どうやら輝彦は職場のマドンナ・住友智恵、メルヘン風俗に務める潮崎めぐみ、不思議ちゃんな人形劇アーティスト・鈴木和歌子に三股をかけていたらしい。持っていた婚約指輪も、誰に渡せばいいのかわからない。輝彦は、スケートリンクにいつもいるエミに相談をするが…。
<Cheeseの解説>
伊藤たかみ(男性)の原作を、岩田ユキ監督(女性)が映画化した本作。
ちょっと不思議な、ほわほわっとした作品です。
夢見がちな男性のファンタジーを、女性がクールに現実目線で描いた…とも言えましょうか。
主人公の輝彦が記憶を無くしている間の妄想いっぱいのファンタジーな世界と、現実に目覚めてからのリアルな虚無感の落差は、なかなか切ないものがあります。
それにしても、山田孝之演じる主人公・輝彦に絡む女の子、それぞれがみんなとっても可愛いいい娘さん過ぎる!
男性の思い描く三種類の理想のタイプを体現するような三人が、キュートで、けなげで、都合良すぎるのです。
身勝手な輝彦を大きく包み込んで、許してあげる三人の女性の包容力にグッときますね。
そして、不思議なスケート少女・エミを演じる二階堂ふみの、妖精のようなとらえどころのなさと、シビアさったら…。
小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴ももちろんそれぞれに存在感があるのですが、二階堂ふみのあやうい感じや、豹変する姿は、なかなかの見ものです。
まあ、物語自体はやっぱり男性のファンタジーなんだろうなあと、女性としては思ってしまいますね。
でも、現実はファンタジーほどスイートでもイージーでもないので、輝彦はファンタジーを満喫した代償に、それなりの絶望を味わうのです。
でも、一度現実を直視して絶望を実感したからこそ立ち上がれるということもあるわけで…、この物語は、輝彦にとっての成長儀礼だったと言えるのではないでしょうか。
この映画、途中までとラストではかなりタッチが変わってしまうのですが、惜しいなあと思うのは、後半の引きがちょっと弱く、ダラダラしてしまうこと。
もうちょっとカットしてテンポよく見せた方が、輝彦の絶望感がより印象に残り、映画としては効果的だったのかなあと思います。
紹介記事:記憶喪失の彼氏の三股が発覚!! 三人の彼女の中から指輪をはめてもらうには…?
『指輪をはめたい』(108分/日本/2011年)
公開:2011年11月19日
配給:ギャガ、キノフィルムズ
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
原作:伊藤たかみ
監督・脚本:岩田ユキ
出演:山田孝之/小西真奈美/真木よう子/池脇千鶴/二階堂ふみ/山内健司/佐藤貴広/マギー司郎/水森亜土
公式HP:http://www.yubiwa-movie.com/
公式ブログ:http://blog.excite.co.jp/yubiwamovi
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