イントゥ・ザ・ウッズ / Into the Woods
「魔法なんて役にたちません。つかむしろ有害! あんなものに頼っちゃダメ!」
「自分でやったことには結果がついてくるんだから、ちゃんと選んでちゃんと対処しなさい。自分で行動しなきゃなんにも解決しないよ!」
「プリンス・チャーミング? ああ、アイツらいいのは顔と家柄だけだから。色恋にうつつを抜かしてるだけで、非常時にはなーんの役にもたちゃしない。あんなバカ王子、むしろジャマだわ」
なーんていう、リアリティたっぷりの現代的教訓がつまった因果応報ミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』。
シンデレラは優柔不断だし、赤ずきんはクソ生意気だし、ジャックは素直過ぎてちょっとおバカだし、ラプンツェルは色ボケ。
そんなキャラクターたちが森の中で新たな教訓を得ていく、盛りだくさんの物語です。
<STORY>
昔々、子どものいないパン屋夫妻の家に、魔女がやって来た。「お前に子どもができないのは、呪いのせいだよ。呪いを解くには三夜の間に“白い牝牛”、“赤いずきん”、“黄色い髪”、“金の靴”を揃えな」。子どもを望むパン屋の夫婦は、そのアイテムをを揃えるために森の中に入る。夫婦はジャック少年から牝牛を買い、赤ずきんちゃんからずきんをもらい、ラプンツェルの髪を切り、シンデレラと靴を交換し、4つのアイテムを集めた。そして呪いは解けた、はずだったのだが…。
<解説>
1987年にブロードウェイで初演されたミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」。
作詞・作曲スティーヴン・ソンドハイム、台本ジェイムズ・ラパインの手によるこのミュージカルが、『シカゴ』のロブ・マーシャル監督の手で映画化されました。
ジェームズ・コーデンとエミリー・ブラントの演じるパン屋の夫婦とメリル・ストリープ演じる魔女を中心に、シンデレラ、赤ずきん、ジャックと豆の木、ラプンツェルなどのおとぎ話の主人公たちが登場するこの作品。
登場人物たちは皆、おとぎ話のようないい子だったりするわけではなく、現代的なキャラクターに変わっている子もいます。
そんな登場人物たちが入れ替わり登場する序盤は、どうもゴチャゴチャしている感が否めない。。。
けれど、序盤を過ぎ、彼らが物語の舞台である森の中に入っていくと、ぐんと面白くなってきます。
彼らは森の中で様々な苦難に直面しますが、登場人物たちはそれを“”魔法”ではなく、“選択”と“行動”によって乗り越えていきます。
不運にも苦難を乗り越えられないキャラクターも出てきますが、それは自らの行動の結果だったりもするわけで、まさにそれは“因果応報”。
自らの行動には結果が伴う、という真理を描いているのです。
個人的に面白かったのは、クリス・パインとビリー・マグヌッセン演じる二人の王子が、自らの恋心を競って歌い上げる「Agony」のシーン。
将来的に王国を治めることとなる二人ながら、庶民の心など知ろうともせず、色恋と自らを魅力的に見せることだけにうつつを抜かす二人のプリンス・チャーミング。
彼らには他に苦労がなんにもなく、唯一の苦悩は好きな女性に会えないというだけのことなんですね。
そんな2バカ王子の様子を、あくまでもカッコ良く演じ、それゆえにアホっぽく感じさせる二人のイケメン俳優、最高でした。
それにしても、これまで「魔法で変身し、王子様と結婚していつまでも幸せに暮らす」ようなプリンセスの物語を作って来たディズニーが、こんな物語を作るだなんて、時代は変わったものです。
でも、生き馬の目を抜くような現代をサバイバルするには、変わり身の早さも必要で、時代の流れを読んでの朝令暮改も正しいことなのかもしれません。
まあね、この現代に、あんなアホ王子をボーッと待ってたって、幸せなんてやって来るわけないですもんね。
ちゃーんと策略を立てて、狩りに出ないと!
『イントゥ・ザ・ウッズ』(125分/アメリカ/2014年)
原題:Into the Woods
公開:2015年3月14日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
原作ミュージカル:スティーヴン・ソンドハイム
原作ミュージカル・脚本:ジェームズ・ラパイン
監督:ロブ・マーシャル
出演:メリル・ストリープ/エミリー・ブラント/ジェームズ・コーデン/アナ・ケンドリック/クリス・パイン/トレイシー・ウルマン/クリスティーン・バランスキー/ジョニー・デップ/ダニエル・ハットルストーン/リラ・クロフォード/マッケンジー・マウジー/ビリー・マグヌッセン
Official Website:http://www.disney.co.jp/movie/woods.html
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